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01x13 - Root Cause 感想

 POI感想の注意書きです。

yuifall.hatenablog.com

 ルート登場回です!あの音楽が不気味ですごいですよね…。Wikiによれば、あの音楽があったからルートがレギュラーになったんだとか…。本当かよ。でもあの曲聴いただけでルートだ!って分かる。。

 タイトルのRoot Causeは「根本的な原因」という意味で、対象者を嵌めた相手、真犯人を探すという意味であると同時に「原因はルート」という意味でもあります。

 

 冒頭、リースの格闘を聞きながらお茶飲んでるフィンチのシーンが笑える。フィンチ、確かに煎茶っぽいの茶こしで淹れてましたね。あれはコーヒーでも紅茶でもなさそう。

 

 それにしてもこの回は被害男性がかわいそうすぎて見るのが辛いです。。失業を奥さんに打ち明けていたらこんなことにはなっていなかったのに…、と思ってしまう。

 対象者、スコット・パウエルはごく普通のパパに見える男です。監視しながらリースはふと黙り込み、フィンチは「どうした?」と尋ねます。

 

Are you still there, Mr. Reese?

聞いているか?リース君

You ever crave a more conventional life, Finch?

もっと普通の人生を切望したことはないか、フィンチ?

If by "conventional" you mean a life without the numbers, it has crossed my mind.

君が言う「普通」という言葉が番号のない人生という意味であれば、頭をよぎったことはある

 

 当然、全てを忘れてグレースと生きることを想像はしたのだろう。「普通の人生」というのも今後2人の間に立ちはだかるテーマになってきます。ルートとショウはそういうこと考えないのに不思議だよね…。「男には待っている女性がいるべき」みたいなconventionalな価値観が垣間見えるからさぁ…。

 それにしてもS1S2で「普通の人生」を夢見るリースの姿があって、S4でそれを一度手に入れかけたリースに対しS5でフィンチが「私たちは距離を置くべきだった」と言うのがとても切ないのですが…。

 

 しかし普通のパパに見えていたパウエルには秘密がありました。失業を隠していたのです。徐々に追い詰められていく彼は、巨大な陰謀に知らず知らずのうちに巻き込まれ、議員を殺した犯人に仕立て上げられてしまう…というシリアスなストーリーなのですが、この間の2人のやり取りにいちいち萌えてしまい困る。

 

Good. And I'm going to want to get a look at his home computer.

よろしい。私は彼の家にあるコンピューターの情報を得ようと思う

So I'll be joining you tonight.

だから今晩君の張り込みに合流する

Really. Ever been on a stakeout, Finch?

本当か。あんた張り込みなんてしたことあるのか、フィンチ?

No. Should I bring anything?

いや。何を持って行けばいい?

Warm clothes, something to read, and an empty water bottle.

暖かい服、何か読むもの、それから空の水のボトルだ

Empty?

空の?

There are no bathrooms on a stakeout, Finch.

張り込みではトイレに行けないからな、フィンチ

 

 想像すると…なんか…。。2人いるんだから交代で行けよ…。

 で、張り込み先の車でプリングルズみたいなチップスを取り出すフィンチ。

 

Hungry already, Finch?

もう腹が減ったのか、フィンチ?

No. And if I was, it wouldn't be for something with... Disodium inosinate.

いや。それにもし私が空腹なら、こんなイノシン酸ナトリウムまみれのものは選ばない

Can is made of aluminum.

この缶はアルミニウムでできている

Its dimensions are perfect for capturing wi-fi radio waves.

この直径はWi-Fi電波を拾うのに完璧なんだ

Point this at the house.

家に向けてくれ

His home wi-fi network has WPA password protection.

彼の家のWi-FiネットワークはWPAパスワードで保護されている

Can you crack it?

入れるか?

Just did.

今入った

 

 この時得た情報からパウエルは議員を殺す気だろうと考え、その議員のパーティーで取り押さえようとするのですが、実は彼は囮だったことが分かります。

 

Listen, this is odd.

聞いてくれ、これは奇妙だ

Those threatening emails that Powell sent to the Congressman--

パウエルが議員に送ったこれらの脅迫メールは…

They're being flagged by my system.

私のシステムに引っかかった

The IP addresses match, but there are big discrepancies in the TTL values, and the headers are failing to authenticate.

IPアドレスは一致したが、TTLの値に大きな解離があり、ヘッダーが認証されなかったんだ

What are you getting at, Finch?

つまりどういうことだ、フィンチ?

Those anonymous emails didn't originate in Powell's laptop.

これらの匿名のメールはパウエルのノートパソコンで書かれたものではない

They were copied onto it from a remote location.

遠隔地からコピーされたものだ

Finch, I'm more interested in finding the guy with the gun than I am in fixing his computer.

フィンチ、俺は彼のコンピューターを修理するよりも、銃を持ったそいつがどこにいるのかに興味があるんだが

I think Powell's being set up

パウエルは嵌められたんだと思う

 

 パウエルを嵌めたのはハッカーと殺し屋のチームだろうと当たりをつけて互いに得意分野で相手を追うことにする2人。ハッカーと殺し屋のチームかぁ、ってちょっと笑っちゃいますよね。

 殺し屋の方はリース的には「腕はそれほどよくないがプロだろう」と言っていて、実際リースに比べたら大分格が落ちる感じでしたね…。殺し屋との対決より、リースがパウエルをFBIから奪還するためにまた車ぶつける→催涙弾ぶちかます→拉致、という無双シーンがとても楽しい♡ 今回ドネリーさん初登場回ですね。

 あとはフィンチとルートのハッカー対決!今回はこっちの方が白熱してました。言ってることは全然分かんないんだけど、フィンチが自分のやってることぐだぐだ説明するシーンいつもとても好き…。

 最初フィンチはルートの企みを見破り、またトロイの木馬も見抜いて連邦裁判所で何かが起こることも察知しますが、その後ハニーポットでシステムに侵入されてしまいます。フィンチは携帯を捨て、システムをシャットダウンし、「君は私を探せるだろう」とリースに言い置いて図書館を脱出します。このYou know how to find me.って台詞萌えますね…。あとはフィンチがハッキングしてる時のリースのNever doubted you.も萌えたわ…。

 

 さて、使い捨て携帯を手に入れ、リースが聞くであろう留守電に番号を吹き込んだフィンチが向かった先はまた図書館です(笑)。どんだけ図書館好きなの。そして呼び出した相手はゾーイでした。

 この回ゾーイとリースの大人の関係が示唆されてそれはそれでとてもいいんですが、フィンチとゾーイの絡みも好きだな♡ 先にスタディルームの個室を予約していた学生に金を握らせて追い出し、ゾーイと密談します。この時学生に「やるじゃん、おっさん」って言われるんですが、デート資金をくれたことに加えてフィンチが美女と個室を使いたがったことを揶揄されたような感じがする。フィンチ、おしゃれで紳士的だし、ちょっと冷たかったり偉そうだったりするシーンもあり、現役の男感がすごいんだよね…。リースとは違う意味のストイックな色気がさぁ…。ゾーイとの知的な会話めちゃくちゃ滾るし、その後2人で組んで真犯人を嵌めるシーンも超かっこよかった。

 

 一方リースはパウエルと地下鉄を逃げているのですが、この2人の会話とても切なかったです。

 

I need to talk to my wife. Now.

俺は妻と話したい。今だ

That's not possible. Not right now.

それはできない。今は無理だ

We need to keep our heads down.

目立たないようにしないと

I could die.

俺は死ぬんだ

And-- and the person who I love most in life would think that I'm nothing more than a killer.

それに…、それに、俺が人生で一番愛したたった一人の人が、俺はただの人殺しに過ぎないと思ったままで

Do you have any idea what that feels like?

それがどんな気分だか分かるか?

Actually, I do.

実際、分かるよ

Of course, in my case, it was true.

もちろん、俺の場合、それは真実だったが

 

 リースには気持ちが分かるだろう、と思う反面、ジェシカはリースを人殺しだとは思っていなかったと思うので、この辺は微妙ですね。ジェシカにとってリースは「軍人」だったと思う。人を殺したことがあるかどうか、多分ずっと聞くことはなかったんじゃないかな。リースが彼女の前から消えた時、というよりも死ぬまで、ジェシカはリースを「人殺し」だなんて思っていなかったと思うんですが。実際、リースが本当に「人殺し」になったのはジェシカの夫を殺した時だと思う(殺したとはっきりはしていませんが、私の個人的な解釈です)。それ以前に軍やCIAで色々あったでしょうが、それは任務だし、戦地で生きるか死ぬかであったり「(国家にとって)正しい事」と少なくとも思わされていたわけで。本当に私情で、自分だけの意思で人を殺したのはジェシカの死後でしょう。

 でも、多分リースは、ジェシカに対してずっと負い目があって、自分がジェシカを殺したようなものだと思ってる。だから、ジェシカが自分を「人殺し」だと思っている、と感じているんだと思う。

 リースはカーターに頼み込んでパウエルが妻と話せるようにします。切望したけれど手に入れられなかった「普通の人生」を送ることができる彼を全力で救おうとして…。同じようなエピソードが後日S2E6 High Roadで出てきますが、この時対象者に感情移入して「普通の人生」を夢見たのはフィンチでしたね。そういえばその回でもゾーイが出て来たなぁ…。ゾーイとても好きだ。

 

 パウエルを救ってから、フィンチは新しく作る会社に彼を雇おうと思っていることをリースに話します。

 

I see that Mr. Powell has been released.

パウエルさんは解放されたようだね

Still has a long road ahead of him, though.

だがまだ前途多難だろう

Indeed.

確かにそうだ

But I suspect that soon he'll be on his way back.

だが、彼はすぐに立ち直れるだろう

I control a company that's decided to build a new facility in New York.

私の関連する企業が、NYに新しい施設を作ることを決めたんだ

They could use a man like Powell overseeing things.

彼らはパウエルのような人物を監督に使うだろう

That's noble of you, Finch.

立派だな、フィンチ

Hardly. I just value good people, Mr. Reese.

そんなことはない。よい人間は報われるべきだよ、リース君

 

 That's noble of you, Finch. は字幕でも吹替でも「優しいんだな、フィンチ」になっていて、喋り方超優しくて萌えすぎた…。優しいよフィンチは…。対象者を助けるために会社に新しい施設まで作らせちゃうんだから…。

 

 終盤のフィンチとルートのやり取りが緊迫してて好きでした。

 リースは殺し屋を気絶させた後で、携帯を拾ってフィンチのところに持って来ます。ルートからの電話に出るフィンチ。「終わったか」と聞かれて「まだだ。だがもうすぐだ」と答えるのですが、それを聞いたルートはもう依頼人を殺す準備を進めていました…。

 

 これってもともとそのつもりだったんだろうか。それとも、計画が妨害されてうまくいかなかったことを悟って口をふさいだのだろうか。声が殺し屋とは違うこと、というよりも自分をハッキングし返してきた相手の声だったこと、気づいてたと思うんだよなー。最後、ルートに「また会おう」と言われて終わります。それにしてもなんで「ハロルド」って名前知ってたんだろう。

 ルートはフィンチのPCにも侵入できるしリースの携帯にも電話かけてくるし、S2終盤くらいまではフィンチよりすごいハッカーなのかな、って思ったんですが(でもそのチート感がちょっとやだったり…)、その後マシンの女になっちゃってマシンとフィンチLOVEになりすぎてワンノブフィンチセコムキャラになってしまいました。。というより最終的にはリース、ルート、マシンがフィンチセコムの筆頭争いをする展開(大穴はイライアス)。結局POIでフィンチを凌駕するキャラって出てこなかったなー。マシンですらフィンチに絶対服従だったし。まあ私はフィンチ萌えなんで全然いいんですけど。

 

 この回ではルートが使っている携帯にアンドロイドのキャラクターBugdroidが表示されアンドロイドOSであることが強調されますが、これはAndroidのroot化(従来は解放されていない管理者権限(root権限)を特殊な方法で取得すること)を暗示していると思われます。つまり、ROOTはADMINと対比される「もう一人の管理者」として登場し、マシンに対し特権アクセスを得るキャラクターであることが初登場から示唆されているのかと。

 後日S5E10あたりの感想でルートについては超語りまくるのでこのくらいにしますけど、S4の途中で死を覚悟したルートが

 

But the life I've led, a good end would be a privilege.

でも私が生きてきた人生を思えば、グッドエンドは高望みだわ

 

って言うシーンがあるんですよね。でも、ルートは初めから「ルート権限」、Root Privilegesを得ることがこのAndroid OSによって示唆されていたと私は考えてて、だから彼女にとってあの終わり方はPrivilegeを得た、望みが叶った、という意味だったんじゃないのかなと思ってます。

 

POI:スコット・パウエル(被害者)

本編:2012年2月上旬(ルートが偽の脅迫メール送りつけたの1月31日だとか)

フラッシュバック:なし