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01x11 - Super 感想

 POI感想の注意書きです。

yuifall.hatenablog.com

 リースをモルグに担ぎ込んで(アメリカでは)無免許の医者に託すわけですが、いくら腕のいい医者がいても道具とかスタッフとか薬なきゃあの環境じゃどうしようもなくない??と思うところもあるのですがまあ細かいところは置いておこう。とりあえずフィンチは何かあった時のバックアップとして色々な情報を持っているということは分かりました(あと金ね…)。

 

 POI、ストーリー上の大きな動きがあった後の息抜きみたいな回がいつもちょっとコミカルで楽しくて好きです。この「管理人」もだし、S2E3の「美しき迷い子」(ソフィアちゃん)とかS2E14の「決別」(ピアース君)とか。この管理人さん、実際近くにいたらちょっとウザそうだけど憎めないいい人って感じです。「天職なんだ…」って言うけど、もと大富豪なのに管理人が天職なのかあ。面白いですね。

 ところでWikiによればこの回はヒッチコック『裏窓』のオマージュだそうです。足を怪我した車椅子の男が部屋にいながら事件を目撃し…という。他にもThis American Lifeという番組のパロディなんかも含まれているそうで…。こういうの見るとほんと、洋ドラを全部理解するのは無理だなって思うんですが、日本の作品だってオマージュとかパロディを完全に理解できているとは思えないしなぁ。

 

 さて、リースが撃たれたのは2011年12月15日ですが、マシンが「資産検索」してリースを探す時のカメラ映像では2012年になっているので、本編は2012年1月?であることが推測されます。およそ1か月たってますね。フィンチはこの間何してたの?一人で番号に対処してた??もしくはファスコを働かせていたのだろうか。

 引っ越してきたよさげな部屋でリースは「ここまでしてくれなくてもよかったのに…。ありがとう」とか言いますが、実は管理人が対象者でした。車椅子のリースを休ませる気がないフィンチが、でも「退屈だろうから」って本を持ってきたり円座クッション持ってきたりすんの笑えた。

 円座クッション!座りっぱなしは身体によくないもんね!フィンチが愛用してるんじゃ、って思うとおかしいし、リースが使うとこ想像もできん。案の定微妙な表情で「あー、後の楽しみにするよ」って(笑)。

 

I hope you don't mind, but in addition to the necessary hardware, I brought a few books for you to read...

君が気にしないといいんだが、生活必需品に加えて、私は君に読むための本を何冊か持ってきた

And a little housewarming gift.

それに、ちょっとした引っ越し祝いも

Thanks.

ありがとう

You want to try it out?

試してみるか?

Oh, no. I'm-- I'm good for now.

あー、いや、俺は…、今はいい

You'll thank me later.

きっと後で役に立つだろう

 

この噛み合わなさ好きです(笑)。後で「もう引きこもりにはうんざりだ、むずむずする」と出歩こうとするリースに「クッションを使え」と言い放つフィンチ笑った。

 

 この回ちょっとした笑えるネタが多くて楽しいです。ヨガやってる女性の部屋を監視しながら2人で傾いたり、管理人がオーナーに怒られているのをカメラで見ながら、リースが「キレてボスを襲うか?」って言ってフィンチがリースをまじまじと見るシーン好き。

 それにこれ。

 

And I know you won't carry a gun, but if I'm sending you back in the field, you're getting some basic self-defense.

あんたが銃を持ちたくないのは分かってる、だが俺があんたを現場に送り出すなら、あんたは基本的な自己防衛を学んだ方がいい

Oh, I really don't think--

あー、私は本当にそうは思わない

No, listen up.

いや、聞け

If Trask comes at you, put your fingers straight out like this and strike at his eyes.

もしトラスクがあんたに向かってきたら、あんたは指をこんな風にまっすぐ突き出して奴の目を突くんだ

Poke him in the eyes? That's your technique?

彼の目を突く?それが君のやり方なのか?

No, that's your technique, and if that doesn't work, you can always take your thumb, jam it in his eye socket, and twist till you hit his brain.

違う、あんたのやり方だ。もしそれがうまくいかなければ、あんたは親指を使って奴の眼窩にそれを突っ込み、脳に達するまでねじ込め

Please, stop.

頼むからやめてくれ

 

 後でストーカーに一生懸命目つぶししようとしてるフィンチがかわいかった(笑)。

 逆にフィンチがリースにセキュリティについて話すシーンも笑えます。

 

This is very nice work, Mr. Reese.

素晴らしい仕事ぶりだね、リース君

Well, I have used a computer before.

ああ、俺もコンピューターを使ったことがあるんだ

But we can't get video from her place.

だがまだ彼女の部屋に侵入できない

She changes her wi-fi password every day.

彼女はWi-Fiのパスワードを毎日変えている

Random alphanumerics.

ランダムな英数字だ

You gotta love a girl with good security habits.

君はセキュリティ意識の高い女性を愛するべきだね

 

 この回好きなのは、2人がお互いの役割を交換してみてお互いに対するリスペクトが深まるところです。フィンチは現場に出て対象者本人に見つかったり身体が不自由で機敏に動き回れなかったり監視中に食事に夢中になっちゃったり大事な場面で戻って来られなかったりするし、リースはリースで情報が中途半端なためにリリーをストーカーしているのが誰か見抜けなかったり管理人の正体を掴み損ねたりします。逆にこの回はお互いがいつもの役割だったら速攻で解決しちゃっていたのかもという感じもありますね。

 フィンチが張り込みしてる時にリースが通信で"Good afternoon, Mr. Finch.” って話しかけるんですが、これはいつもフィンチが “Good morning, Mr. Reese.” って挨拶することへのオマージュというか2人の役割が今回入れ替わっていることを示唆する台詞のようで、小ネタが効いてて楽しいなと思いました。てか、S1E1でフィンチがリースに「ミスター・フィンチと呼んでくれ」って言ってて、リース君一度もそんな呼び方したことなかったと思っていたのですが、ここで呼んでましたね(笑)。

 それからフィンチが建物内を逃げ回りながら

 

I feel like a rat in a maze. How do you put up with this?

迷路の中のネズミの気分だ。君はこれにどうやって耐えているんだ?

 

って言ったり、連絡の取れないフィンチにリースが

 

Where the hell have you been?

あんた一体どこ行ってたんだ?

 

と聞いてフィンチが

 

Now you know how I feel.

これで私の気持ちが分かっただろう

 

と返したり、2人が

 

Yeah, I'm just sick of being cooped up and, uh, staring at screens all day.

俺は引きこもって一日中画面を見ているのにはうんざりしてる

I'd rather be doing that than trudging around half of Manhattan.

私はマンハッタンの半分を歩き回るよりもその方がいいよ

I have half a mind to spot Lily cab fare.

私は半ばリリーにタクシー代を出してやりたい気持ちになっている

 

って会話したりとても楽しいです。最後、いつも作業着を着ている管理人さんが実はマイアミの大富豪だったことが分かるのですが、

 

How'd you find all that out?

あんたはそれをどうやって知った?

I'm good with computers.

私はコンピューターが得意でね

Be honest, Finch.

正直になれよ、フィンチ

There is no machine, is there?

マシンなんかないんだろ?

It's just you.

あんただろう

I'll be ready when the next number comes.

次の番号が来る準備はできてる

Funny you should mention that.

君がそう言うなんておかしいね

(このフレーズで検索すると、「ところがどっこい」という和訳が出てきて笑えます)

 

という会話も好き。

 管理人さんの昔の写真面白すぎて停止して凝視してしまう(笑)。全然別人みたいなマイアミナイトクラブ王とペットのトラとセクシー美女の奥様!!「マイアミクラブ王のワイルドライフ」みたいな記事タイトルも笑える。それにしても、自分の過去をあれほどべらべらオープンに喋っててマフィアに捕まったらどうすんだー、って気もしますけどね(笑)。性格なんだろうな。

 

 でも、管理人さん、結局被害者だったのかな、加害者だったのかな。銃を買って戦おうとしていたから加害者側なのかなって思ったのですが、マシンは「殺意」を検知する、って言うけど、殺そうとまで思っていた感じはしないし…。せいぜい脅して追い出そうとしていた感じに見えます。返り討ちに合うとか?なんか、「殺意」までは感じられない回ではありました。

 

 あとはリースが動けないから、フィンチがカーターと接触して事件を未然に防がせるシーン好きです。携帯の位置情報を改竄しておびき寄せ、「何をしてるの?」という問いに対して直接は答えず、いきなり人助けの仕事に巻き込むと。この時の会話面白いです。

 

How's your friend?

あなたの友達はどうしてるの?

You're gonna have to tell me something.

あなたは私に何か言わなきゃないんじゃないの

Like who the hell are you, and what exactly is going on here?

例えばあなたが一体誰なのかとか、ここで正確には何が起きているのかとか

When I was nine years old, my brothers decided I needed to learn swim, so they tossed me into the deep end of the pool.

私が9歳の時、私の兄弟たちは私は泳ぎを覚える必要があると決意した。だから彼らは私をプールの深い場所に突き落とした

Took a few minutes, but I figured it out.

何分かかかったが、私は泳ぎ方を覚えた

 

 フィンチの兄(多分)!しかも複数形なので、兄が複数いる?文脈から弟ではないだろうと思うのですが、とりあえず少なくとも3人兄弟以上の環境で育ったことが示唆されます。本当かどうか分からないけど…。今まで頑なに素性を隠してたのに、こんなところで不意に子供の頃の話とかしちゃうんだ。

 

 でもS3で出てくるフラッシュバックシーンでは、お父さんと2人暮らしっぽかったですけどね。少なくとも青年期(18歳前後くらい)の感じでは明らかに2人暮らしでした。お父さんの若年性認知症の兆候はかなり早いうちから出ていたので、9歳以降に母親が兄2人?を連れて幼い末っ子だけを残して出て行ったとも考えにくく、この辺りは謎です。兄の話は純粋に嘘かもしれん。てかフィンチの正確な年齢が分からないのでフラッシュバックシーンが何歳の時のものなのかよく分からないし…。

 カーターはもともとリースを捕まえようとしていたけど、逮捕すればおそらくCIAに身柄を奪われてしかも殺されるということが前回はっきりした以上、もう捕まえる気そのものをなくしています。フィンチに接触し何者で何をしているのかを尋ねるのですが、言葉で説明はしてくれずいきなりプールに突き落とされると(笑)。でもさすがカーター、事件が起こる前に対象者を逮捕してくれます。この辺からカーターとファスコの探り合いがS1ラストまで続くのでそれはそれで楽しい♡

 

 S1とS2の人間関係がほんと好きなんだよなー。まあでもずっとそのままってわけにもいかないからS3以降激変したんだろうけど…。カーターがヒロインポジでリースが彼女に無自覚片思いしててフィンチがそれを見守っててファスコが振り回されているという状況の裏で、フィンチがヒロインポジでリースがフィンチ絶対守るマンしててカーター&ファスコがそれに巻き込まれているという構図が面白かったんですけどね。S3半ばでカーターがいなくなってフィンチのセコムキャラが大量発生しリースの影が薄くなってファスコとバディみたいになっちゃってとても悲しい…(ファスコは好きだけど…)。今回ずっと「カーターはどうしてる」と気にし続けてるリースがかわいくて好きでした。

 

 あとはこの回はフィンチとネイサンの過去のエピソード再びですね。フラッシュバックが数度挟まれます。いずれも2005年。最初はアリシア・コーウィンがD.C.からネイサンを訪ねてくるシーン。

 ネイサン、女ったらしすぎじゃない??てか人たらしなのかな。「なぜわざわざD.C.から?」「あなたに会うためよ」「それは嬉しいね!アリシア」とか、「マシンのことが世間に知れたらあなたの会社は終わり。あなたも牢獄行きよ」「監房で君と同室にはしてもらえないだろうね」とか、マジで口うますぎます。いやー、あの外見だしこの性格だし、モテまくりでしょう…。アリシアも絶対ネイサンのこと好きだったよね…。誰も嫌いになれない人だよ…。

 ここで「マシンに政府の監視情報を提供して3年」と言っているので、フィードを受けていたのは2002年からです。2002年1月1日が今のマシン起動初日だったので、その後くらいからだろうか。

 ここでアリシアに9桁の番号を「これが成果だ」と渡し、彼女と別れた後でネイサンはフィンチと会話します。

 

For once, I'd like you to handle one of these meetings while I lurk in the shadows.

時々はこんな会合を君がこなしてみたらどうだ?俺は陰に隠れてるから

You couldn't lurk if you tried.

もし頑張っても陰に隠れるなんてできないだろう

 

 あんだけぺらぺら喋ってたのに、ネイサンは本当はあんな風に人と会うの好きじゃなかったんですね。分からないんだよなぁ。結婚しててもたくさん女性がいたのは事実っぽいし、多分人と関わるのは嫌いじゃないし人に好かれる人格も演技ではないと思うんだけど、それでも実は会社の顔をすることに疲れてる。フィンチは「君はそういう質だろう」と取り合わないんですが、いつも、どうしてフィンチのためにここまでしたのか…、って思ってしまう。

 あと、Wikiではこの時の2人のことを「日本ではオモテとウラという言い方があって~~」みたいな言葉を使って、ネイサンが表向きの顔、フィンチが裏で実質的な開発を担っている、という状況が説明されていました。

 

 次のシーンはIFTです。フィンチは政府の人間が不意打ちで現れたことを察知し、ネイサンのPCにコーヒーをかけてシステムエラーにしちゃいます。これってどういう意味?PC見られたらまずいからなのか、自分がその場にいるのはPCのシステムエラーに対処していた技術者であると装うためなのか?

 ここでネイサン、アリシア、デントン・ウィークスの3人をマシンが顔認証するんですけど、ネイサンの誕生日が1956年6月16日になってて、他の回と整合性が取れてない…。これってただのミス??S1E2 Ghostでは1962年生まれになってたし、S2E6 High Road で表示される生年月日も1962年生まれだったはずです。マシンは3人を次々に認識し、白枠から黄枠へ変えますが、デントンだけは最終的に「システムに対する脅威」とされ、赤枠に変わります。フィンチがマシンに「分かってるよ」と話しかけていて、今のフィンチとマシンの関係とは違っていることが分かります。

 

 ここでは、アリシアに渡した「番号」はマシンが検知した国家に対する脅威だったこと、ネイサンとフィンチはマシンを他の目的に使われないようブラックボックス化し、誰もシステムにアクセスできないようにして引き渡すことで政府と同意したこと、売値は1ドルだったこと、デントンがマシンへのアクセスを試みていること、マシンがそれを拒絶してフィンチにそれを伝えていること、などが分かります。

 

 ちなみにここで表示されるデータはこんな感じ。

 

NAME: INGRAM, NATHAN C.

SSN: XXX-XX-1860

DOB: 1956/06/16

POB: FREEPORT, TX

ADDRESS: XXX W72ND NY NY 10023

OCCUPATION: CEO IFT, INC.

FUNCTION: EXECUTIVE

ACCESS: ALLOWED

 

NAME: CORWIN, ALICIA M.

SSN: XXX-XX-2990

DOB: 1971/03/11

POB: SAN DIEGO, CA

ADDRESS: XXXX 20THSTNW WASH. D.C. 20009

OCCUPATION: DEPUTY A.P.N.S.A.

FUNCTION: LIAISON

ACCESS: PROHIBITED

 

NAME: WEEKS, DENTON L.

SSN: XXX-XX-6711

DOB: 1949/01/25

POB: WASHINGTON D.C.

ADDRESS: XXX CHISOLM AVE. FT. MEADE, MD 20755

OCCUPATION: CLASSIFIED

FUNCTION: SUPERVISOR

ACCESS: PROHIBITED

ACCESS: DENIED

         THREAT TO SYSTEM

 

 かつてのマシンは管理者にはオープンだったので、情報が丸見えです。あと、マシンが一体何をしてどうやって情報を掴んでいるのかもフィンチは分かっているので、この段階ではブラックボックスでもありません。アクセスする人間にこういうデータを見られないようにするために封印したんですよね。

 

 最後のフラッシュバックはマシンが政府に正式に採用されたことを2人で祝っているシーン。マシンは人間には不可能なレベルのサーベイランスを日々全国民に対して行っているとフィンチはネイサンに話します。

 

It's probably a good thing that you're the only other person that will ever see how this machine works.

マシンがどのように動いているかを知っているのが私の他に君だけだというのはいいことだろう

When it's complete, I'll encrypt the OS so completely that no computer on earth will ever crack it.

完成したら、私はOSを暗号化し、地球上のどのコンピューターからも侵入できないようにする

Does it bother you? I mean...

君はそれでいいのか?つまり…

What you've achieved is historic. But no one will ever know.

君のやったことは歴史的なことだ。でも誰もそれを知ることはない

It's the way it has to be to be sure.

確信するためには必要なことなんだ

Sure of what?

何を確信するために?

Sure that they'll use it the way I intended.

彼らが私が意図したようにそれを使うということを

So you think the government would abuse this machine?

つまり、政府はマシンを悪用すると考えているのか?

Denton Weeks has spent the last six months trying to tunnel into the machine by way of the NSA feeds.

デントン・ウィークスはこの半年間ずっとNSAフィードからマシンに侵入しようと試みている

He's failed, but he'll keep trying.

失敗しているが、やり続けるだろう

And he won't be alone.

そして彼だけではない

I don't even want to think about what a man like Weeks would do with that kind of power.

ウィークスのような人間がこんな強力なものを使って何をするのか考えたくもないよ

That's why we have to keep him or anyone else from ever getting their hands on it.

だから彼であろうが誰であろうがマシンを使えるようにしてはならないんだ

You sure it was Weeks?

それは確かにウィークスなのか?

The machine told me.

マシンが私にそう言った

It has an instinct for self-preservation.

自己防衛本能があるんだ

You talk about that thing like it's alive.

まるで生きているみたいに話すんだな

Shh. It can hear you.

しーっ。マシンが聞いてるよ

 

 フィンチがマシンをブラックボックス化し、クローズドシステムにした理由がここで語られます。誰であれ、「テロを防ぐ」以外の目的で使われないようにするためだと。ネイサンもアリシアとデントンに「監視されるならあなたたちのような人間よりも機械の方がいい。ブラックボックス化は譲れない」と言っていました。

 この感覚が理解できるからこそ(だってあんな個人情報丸見えのまま引き渡されたらちょっと…)、この後起こることが切ないんですよね…。ネイサンはこの2年後に、マシンが検知するのはテロだけではないということに気付くことになります。

 

 この頃のマシンはフィンチの子供みたいだよね。でもフィンチは最終的にはマシンに懐かれることを拒み、自分もアクセスできないようにします。「誰であれ」マシンにアクセスできない、という自分の規律である「正しさ」に従って。フィンチのこういう誠実さが自分自身を最後まで追い詰めていく様子が本当に切なくて…。フィンチはずっと正しかったけど、この「正しさ」のために無用番号を見殺しにし、ネイサンを奪われ、サマリタンの起動を許し、ルートも死なせることになるんですよね。でも、もし正しくなかったら、そもそもマシンを私物化して金儲けして自分とお友達だけ超ハッピーになってやりたい放題な使い方できたわけだし…。

 技術者が自分の開発した技術の責任をどこまで取る必要があるのか、というのは19世紀(科学の世紀)くらいからずっと倫理的な問題として存在するわけで、マシンの開発と引き渡しの様子を見るとフィンチはそれをずっと知っていたしそれに誠実にあろうとしているんだけど、その意味がネイサンの死の以前と以降で変わってしまうのがとてもやり切れないし、割り切れないなと思う。

 

 最後、マシンがネイサンに対する脅威を検出したところで終わります。おそらくはマシンの存在を完全に隠蔽するためにネイサンを亡き者にしようという政府の陰謀が動き始めたのがこの頃だったんでしょうね。それにしても2005年かぁ…。実際に殺されたのは2010年だから、けっこう間が空いてますね。マシンの完成と本体の完全な引き渡しを待って、ということかな。

 

 今回のタイトルはSuper(管理人)ですが、裏テーマとしてAdmin(管理者)でもあるのかな、と思いました。

 

POI:アーニー・トラスク、デレク・ワトソン(どっちも加害者)

本編:2012年1月頃

フラッシュバック:2005年、フィンチ(ネイサンとIFTなど)