講談社 穂村弘 著 「ぼくの短歌ノート」 感想の注意書きです。
ミクロの世界 時間編
時間的なミクロ、と言われると思い浮かぶ本が2冊あって、1冊目はマイケル・ルイスの『フラッシュ・ボーイズ』です。これは金融市場における超高速取引の話で、10億分の1秒の速さが大金を左右するっていう実話、というかノンフィクションです。
もう1冊は全然毛色が違って木原浩勝と中山市朗の『新耳袋』なのですが、こっちは民間伝承系怪談で、「心霊写真が撮れるのは写真には人間が知覚できない一瞬が映っているから」的なことが書いてありました。まー、心霊写真の方は別に信じてるわけじゃないんですが(笑)、要は、我々が知覚してるミクロなんてミクロじゃないんだろうなーってことで、だからその一瞬で運命が変わるってのはまああり得るっていうかそうですよねって。
げっぷする瞬間耳は聞こえざりホーームラン!の「ホ」を聞きのがす (清水良郎)
なんかさ、「ホ」が聞こえなくても「ホームラン」だって分かる歌だからいいのかなって思う反面、実は全然違う言葉だったら面白いよなーって思ってしまいます。
ポケットから落ちてく財布キャッチして平行世界のこちらの僕です (弱冷房)
なんかはわかりやすくて、(プレイしたことないけど伝説的ソフト)1998年のサウンドノベル『街 〜運命の交差点〜』とか、(打ち切りだけど)2003年のFOXドラマ『TRU CALLING』の世界ですよね。
でもさー、ほんとうに平行世界ってあったら、それこそ現存する人類だけに限って考えても1秒と1秒の間に膨大な可能性があって、それが一生分×人口存在し、さらに相互作用まで考えるとマジでカオスですね。カオス理論ですね。はっきり言って何を「分岐点」と捉えるかは個人の勝手な主観であって、「並行世界」なるものが存在するとしたらその物理的法則に個人の主観であるところの「分岐点」は全く無関係なはずだから、キャッチする/しない、でのみ分かれる運命を私は信じませんが、そんなこと言ったらつまらないのも分かってるし、そもそも並行世界があろうがなかろうがこの作品の面白さが損なわれるわけではないですからね!
高速を運転中にくしゃみする 瞬きよりも長く目閉じる (yuifall)