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S3x14;On My Way 感想

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yuifall.hatenablog.com

 

 It's too lateですけど先生方がようやくまともなこと言ってますね。ほんと遅すぎです。カートのいじめの時に「何かがおかしいと思っていたのに」ってスーが言うけど、気付くの遅すぎやろが。カートは「あの件をばらしたら殺すと脅された」って意味深に言ってるし、カロパパも「この子は最近急に変になった」って言ってるし、プロムキングとクイーンだって明らかに変だったし、もっと掘り下げればもっと早く気付いたはず。

 スー先生もシュー先生も、ずっとカートにもカロフスキーにもまともに向き合わなかった。だからこうなったんだよ。これは子供だけで解決できることじゃなくて、導いてあげられる大人が介入した方がよかった。最終的にカートもカロフスキーも転校してしまって、それで平気なんだもんね…。この学校は生徒も先生もひどすぎ。まあドラマだから仕方ないのかもですが…。

 

 ブレインが歌う「Cough Syrup」をカートが一人で聴いてて、そのバックでカロフスキーが自殺に追い込まれていくシーンが見ていてすごくすごく苦しかった。3人とも同性愛者で、自分のアイデンティティの根幹に関わる部分を私的にも公的にも否定されながら生きていかなくちゃいけない。「人生なんてクソだ」ってカートは言う。カートにはブレインがいるけど、それはカミングアウトしていじめや白眼視と戦って手に入れた愛で、簡単に得られたものじゃなかった。カロフスキーには誰もいない。親友にも家族にも否定されて、生きる希望がない。

 

 シュー先生が「明るい未来を想像してみてほしい。耐えられないと思うことは人によって違う」って言うよね。この言葉だけは本当にこの人が正しいと思います。シュー先生はカンニングした自分に耐えられず自殺まで考えたけど、パックは「俺にとってはいつものこと」って言う。カロフスキーは、「きみを散々いじめてきたのに自分は一週間と持たなかった」って言うんだけど、カートをいじめてたことは反省してほしいけど、耐えられなかったのは彼がカートよりも弱いっていうことじゃないと思うよ。耐えられることとそうじゃないことが人によって違うだけだと思う。

 カートは確かにものすごく苦しんできたけど、5歳から自分がゲイだって自覚しててそれをオープンにする道を自分で選んだ人で。初めてカミングアウトしたメルセデスはすぐに受け入れて親友になったし、父親にも100%受け入れられてる。gleeではいじめから守ってくれる友人に囲まれてるし、恋した相手と親友で兄弟になり、初めて愛した人が恋人で。

 でもカロフスキーは、カミングアウトの覚悟ができないまま勝手にひどい形でばらされて、親友にも母親にも拒絶されて、ゲイの友達のカートは電話に出てくれなくて、セバスチャンにもからかわれる。ネット上では匿名で誹謗中傷されて、世界中が敵になったように感じただろう。自分がカートにしてきたいじめや、「殺す」とまで言ったことが返ってきたと思っただろう。カロフスキーにとっては、この秘密こそが(好きだった)カートを脅してでも守りたいものだったはずだったから。これは耐えられなくても仕方ないと思う。自分には味方はいないし、もう未来なんてないって思っただろう。

 カートが電話に出てくれなかったことはある意味自業自得かもしれないけど、でも、カートはいじめの件を忘れてられてないっていうのもあるのかもだけど、多分バレンタインに告白されたから余計出られなかったんじゃないかな…。恋人がいるのに、自分にI love youと言ってきた相手と平然と電話できないだろうし…。あの時友人として会っていれば…、本当に、この2人の運命が悲しいわ。

 

 カートにとって、最も耐えられない痛みは父親を失うことなんだと思います。自分がいじめられたり虐げられたりすることより、父親の痛みが辛い。歌姫対決の時父親にかかってきた電話、「僕は慣れてる」って言いながら「パパには耐えられない」ってわざと負けたし、フィンへの恋よりも父親を奪われることに苦しんでた。パパが倒れた時は神様じゃなくて父親との絆に縋った。今回も明るい未来として「パパの活躍」って言っていたし、S4でもブレインに浮気されたこと以上に父親の癌に動揺しているように見えた。カートの後ろにはいつも力強いパパがいて、愛して守ってくれる。それがカートの一番の原動力なんだと思う。だからいじめに耐えられたんだと。

 ブレインは、「同性婚の合法化」を夢に挙げてるよね。この人は何か家庭とか背景がよく分からなくて、お金持ちの子のはずなのに愛されてる感じもそれほどなくて、カートに必要とされたがってて、多分結婚とか家庭に対して過剰な憧れがあるのかなっていう気がします。あんまり家族に受け入れられずにお金や教育環境だけ与えられてきた感じ。で、自分は愛する人と温かい家庭を築きたいって夢を抱いてる。それから、自分たちは不当に扱われているっていう怒りもあるような気がする。ブレインって私にはちょっとどんな人なのかいまいち掴み切れてなくて、どういう信念に支えられてて何が一番辛いのかはっきりしないです。だけど、自分のアイデンティティ(セクシャリティ)が多くの人に否定され、愛する人と生涯を過ごす権利すら公的に認められていないことへの焦燥感とか怒りを感じる。だから同性婚の合法化にこだわってるし、それが認められた瞬間にカートを公的に自分と結びつけようとするのかなって。サムに「僕たちのような人間は何百年も結婚なんて早いと言われ続けてきた」って主張して…。

 あと、今回のカートの発言も、実際の英語だと「I'm looking forward to watching my dad make a difference in Congress(僕はパパが議会で力を発揮する(何かを変える)ところを見たい)」ってなってるので、このmake a differenceの中にはもしかしたら同性婚の合法化も含まれるのかな、2人とも合法的に結ばれることを求めてるのかな、って気もしてます。この2人って結婚式に歌いたい曲だの老後の計画だのって話し合ってるし、何か結婚に夢があんだろうな、多分。

 

 神様クラブが「カロフスキーのために祈る」って言ってカートが現れて、「僕が少しでも応えていれば…」って泣くシーン本当に切なかった。応えられない気持ちは十分わかるし、でも悔やむ気持ちも分かる。カートは一時期カロフスキーを憎んだかもしれないけど、彼が死んでほしいとまでは願ったはずがない。今となっては、手を差し伸べてあげられなかったことへの後悔の方が強くて、自分を責めてる。自分が父親を失いかけた時ですら「教会はゲイを拒絶する」って無神論者を貫いたカートが、カロフスキーのために神に祈ろうとする気持ちが、痛いほど胸に迫ります。

 この時カートはブレインに泣きつくんじゃなく、自分の力でカロフスキーのために立ち上がろうとするんだよね。神様隊も前回ゲイの愛情に関して葛藤してたけど、今回は迷わず彼のために祈ろうとしている。州大会ではNDだけじゃなくウォブラーズもカロフスキーに曲を捧げ、セバスチャンも改心する。暗闇の中にいてそれが見えないんだけど、本当はカロフスキーはみんなの大きな愛情に包まれているんだなと感じました。これは今苦しんでる子たちへのメッセージなのかなって思ってます。本当は愛されてるよ、愛してくれている人はたくさんいるんだ、って。

 

 州大会の後カートが病室に訪ねていくシーン、本当に好きです。カートがクリス・コルファーのために作られたキャラクターだというのはgleeファンの間では有名だし、2人は同一視されがちだった、というのはよく聞きます。私はgleeをリアルタイムで見ていないので当時の熱狂ぶりが分からないし、クリスのインタビュー動画なんか見てるとクリスと(特に初期の)カートは全然違う人だと感じる。でも、この時の言葉は、クリスの想いも伝わってくるようで重いし、胸が詰まる。何度見ても涙が出てきます。「綺麗事を言うつもりはない。人生なんて最悪だって何度も思うよ」。

 シュー先生が自殺について話している時、何度もカートのカットが入るよね。きっとカートは何度も自殺を考えたことがあるんだと思う。だからクインの言葉に突っかかるし、誰よりもカロフスキーの気持ちが分かる。このまま生きてたって苦しむだけのくそったれな人生しかないって思いながら生きてきたし、獲得したものは全てあがきながら得たもので、まだ18歳だけど、どうしてストレートの(普通の)人間にとって簡単なことを自分は傷だらけになってようやく手に入れなきゃないんだろうって思い続けてきたんだろう。歌の才能があっても男だから女性リードはもらえないし、外見や仕草が繊細すぎて男性の主役ももらえない。父親の期待する「普通の息子」にはなれないし、初恋は叶わない。自分自身でいるだけでいじめにあって、いつかここを出ていくって心に誓ってる。その姿はやっぱりクリスと二重写しになるし、彼はカートを演じることで自分にしかできない役を得たんだなぁと(S3x02でカートのパパがカートに言うように)。

 カロフスキーがカートに助けられて幸せな未来を想像するシーンはとても美しいと感じます。最初はそんなことできないと思っていたカロフスキーが、少しずつ夢を語り始める。「きみはかっこいいオフィスにいるんだ。専門職についてる。弁護士とか…」って言うカートに、「スポーツエージェントは?」って。「それはすごくいいね」ってカートは微笑んで続ける。「ハンサムなパートナーが息子を連れてやってくる。今日の仕事はこれで終わりだ。今日は息子と初めてのアメフト観戦に行く日。きみはパートナーに寄り添ってこう言う」「…今とても幸せだ」

 なんか打ち込んでるだけで泣けてきました。。世界中に拒絶されてるわけじゃないんだよ、受け入れてくれる人もいる。心から愛せる人に愛されたら、自分を受け入れない人なんて無視していい。くそったれだ。プロムでカートは言ったよね。「どんなにののしっても、陰口を言っても、彼らは僕を傷つけられないし僕たちの関係も壊させない」って。ずっと自分を傷つけ続けてきたカロフスキーにカートは自分の生き様で応えようとする。カロフスキーは「あの時友達として好きだと言ってくれてありがとう。友達になりたい」って手を伸ばして、カートはその手を握る。恋人としては受け入れられなくて拒絶した手を握って、「友達になろう」って。ここがこの2人の最終着地点で、カートとフィンの結末と同じくらい美しくてこのシーンは大好きです(まあ、このシーンが好きであればあるほどS6はマジで何なんだよってなっちゃうんですが…)。

 人生は続くし、この瞬間があったから何もかもうまくいくわけではないと思う。カートの言う通り、人生なんて最悪だって思う時はまた来るんだろう。学校を変わっても、今はSNSとかで全て分かってしまう時代だし…。でもS6で再登場したカロフスキーは明るいゲイだったから、きっとこの後悪いことばかりじゃなかったんだろうな、それは本当によかったなと思いました。ブレインの件は別としてさ…。

 でもよく考えたらカロフスキーはスキャンダル(ゲイバー)に出入りしてるわけだし、親身になって助けてくれる大人もいたんじゃないのかなぁ。。その辺どうなんでしょう。

 

 カロフスキーはS6でもライマにいたからオハイオの大学行ったのかな?って気がしてて、普通にオープンゲイで楽しそうにやってたし、親にも受け入れてもらえたのかなって思ってます。ちなみに私が勝手に想像してる未来では大学を出た後高校の先生になってます(笑)。自分が過ちを犯したから今度は生徒をきちんと導いてあげたいって、体育の先生になって、運動得意な子にも苦手な子にも目を配ってあげて、いじめのない学校を目指してくれてると思う。で、マイノリティの子供を支援する集会かなんかで出会った弁護士さんと恋に落ちて結婚するんだ♡

 というかKlaineは結婚のことちゃんとカロフスキーに伝えてんのかな、って何気に気になってます。。カートがブレインに「きみからちゃんと電話して直接伝えてよ。そしたらもう根に持たないから」って電話かけさせてそうだな。その後も友達としてやっててほしいなって思ってます。きっとオハイオにいるサムとは仲良くやってると思うなー。結婚式にはみんなでお祝いに行ってほしい!結婚相手はダルトン卒業生だと楽しいなー。会ったことないけどレジェンドのブレインに憧れてるの(笑)。で、カロフスキーが昔付き合ってたって知って逆に嬉しいみたいな(憧れのアイドルと自分の彼氏が昔恋人だった!マジか!みたいな笑)。というかまあ相手はセバスチャンでもいいんですけど(笑)。海外ドラマ、身近な人とくっつきまくりですし。妄想劇場カロフスキー編でした(笑)。

 

 ちなみに妄想劇場は以前S3x06でパック&クイン編を書きましたが、あとサム&メルセデス編もあります♡アーティ&ティナ、レイチェル&ジェシー、Klaineはなんとなく本編で描かれてるからなー。Brittanaは私の想像を遥かに超えてきそうなのでちょっとよく分からない(笑)。

 

 S3におけるFinchelの結婚関係のごたごたには正直それほど興味がなくてフィンが痛々しいなってくらいなのですが、女子たちのブライズメイド姿、当時の『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』っていう映画のパロディだったらしい…。ほんと、こういう小ネタ!わからん!

 クインの事故はマジで気の毒だったな。。自殺に関してカートはクインを強めに批判したけど、クインの言うことも分かるよ。自分勝手だって。カートは美人で超人気者で自己中なクインしか知らないけど、かつてルーシーとしていじめにあってて、そこから自分の力で這い上がってきたんだもんね。クインはタフな女だと思います。だからってチアに復帰することが決まった矢先にこんな…。この人もいじめだの望まない妊娠だの事故だのわりと大変だよなぁ…。でもどれもあんま深刻に描かれないのは、やっぱり綺麗すぎるからなのかな…。子供も産みっぱなしでその後何事もなかったような感じだし、今回の事故後のリハビリシーンもイケメン(ジョー)といちゃついてるようにしか見えなかったし…。

 

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 病室での会話直訳↓ 

Can I come in?

(入ってもいい?)

The doctors took me off I get to go home tomorrow.

(俺は明日退院していいことになったよ)

That's great.I'm really happy that you're alive, David.

(それはよかった。デイビッド、僕はきみが生きていて本当に嬉しいよ)

Me, too.

(俺もだ)

I should have returned your calls.

(僕はきみの電話に応えるべきだった)

Why would you, after the way I've treated you?

(俺がきみをあんなふうに扱った後でなぜ電話に出るんだ?)

It's okay.

(いいんだ)

No, it's not okay.

(いや、よくない)

It's like you said on Valentine's Day, I made your life a living hell for months.

(バレンタインデーにきみが言ったように、俺はきみの人生をしばらく生き地獄にした)

But when the same thing happened to me, I couldn't even take it for a week.

(でも同じことが自分に起きた時、俺は一週間も耐えられなかった)

I suppose a best friend telling me he never wants to talk to me again, my mom telling me that I have a disease and maybe I can be cured I don't know what to do.

(親友には二度と口をききたくないと言われたし、母にはお前は病気だからきっと治ると言われた、俺はどうしていいか分からない)

I can't go back to that school.

(あの学校にはもう戻れないよ)

Then go to another school.

(じゃあ、違う学校へ行けばいい)

I'm not gonna lie to you, it it isn't gonna be easy.

(僕はきみに嘘をつきたくない。それは簡単なことじゃない)

And there'll be some days when life just sucks.

(そしてまたいつか人生なんて最悪だと思う時があるだろう)

But you're gonna get through this.'Cause I'm gonna help you.

(でもきみはやっていけるよ。だって僕がきみを助けるから)

And so is everyone else who loves you and accepts you for who you are.

(そして誰かきみをありのままに愛して受け入れる人がいるよ)

And if they can't accept that, then screw 'em. Right?

(もし受け入れられない奴がいたら、そんな奴らはくそったれだ(無視しろ?)。だろ?)

Yeah.

(そうだな)

This week, um, Mr.Shue had us think about something we're looking forward to in the future.

(今週、あの、シュー先生が僕らに、将来楽しみにしていることを考えさせたんだ)

You want to give it a go?

(きみもやってみない?)

I don't know.

(どうかな)

Come on. I'll help you.

(やってみよう。手伝うよ)

Close your eyes, and imagine what life could be like in ten years.

(目を閉じて、10年後人生がどうなっているか想像してみて)

You're sitting in a fantastic office. You're some kind of successful professional. A lawyer, maybe.

(きみは素晴らしいオフィスに座ってる。きみは何か専門職で成功してるんだ。弁護士とかさ)

Could I be a sports agent?

(スポーツエージェントはどうかな)

Sure.

(もちろん)

You're a big sports agent living in the city of your dreams because you left Lima and never looked back.

(きみは夢見た街に住んでいるビッグなスポーツエージェントだ。ライマからは出て、もう帰らない)

Your handsome partner comes to visit you in your office and brings along your son.

(きみのハンサムなパートナーが息子を連れてオフィスにやってくる)

You're taking the rest of the day off work because you're taking your son to his first football game.

(きみはこの後オフにするんだ、だってこれから息子と初めてのフットボール観戦に行くから)

You lean over to your partner, and you say,

(きみはパートナーに寄り添って、こう言う)

 "I'm so happy right now."

(今とても幸せだよ)

You, uh you said last week you wanted to be friends? I'd like that.

(きみは、きみは先週、俺と友達になりたいって言ってくれたね。友達になってほしい)

Me, too.

(僕もだよ)