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03x17 - / - Root Path 感想

 POI感想の注意書きです。

yuifall.hatenablog.com

 ルート活躍編です。日本人なら誰でも気になると思うけどさー、冒頭、アメリカドラマにしばしば登場する変な日本人が出てきます。てかあまり日本人には見えないし実際その人は一言も日本語喋ってないのですが誰??ルートが少しだけ日本語しゃべってて可愛かったですが。

 ちなみにPOIの台詞載ってるサイト、他言語の場合かっこ付きで [Speak in Chinese] などと書かれていることが多いのですが、今回日本語であることすら書かれておらず2人のやり取りも完全無視で笑う。すげー取って付けたようなポリコレ対策??

 

 今回は、ルートの改心エピソードなのかなあ。フィンチもリースもマシンが万能でないことを知っているけど、ルートはマシンを神のように崇めていて、そしてマシンと繋がっている自分は万能だと信じ切っている。そのせいで対象者が危機にさらされます。

 対象者はビルの清掃業をしているサイラス。ルートはマシンの指示で彼に近づきますが、マシンは断片的な情報しか彼女に与えないので、彼女はマシンの意図も対象者がどういう人間なのかも知りません。かつてのルートだったら自力でなんでも調べていたのでは?でも今は、「彼女がまだ教えてくれないの」と、マシンが言わないことは知る必要がないという態度です。

 そんなルートにフィンチは警告します。「サイラスの最大の脅威は明らかに君だ。どんな形であれ、君といることで彼が危険に晒されることになる」ルートは聞く耳を持ちません。マシンと繋がっているから。「私といる限り彼は安全よ」と。でもフィンチは更に警告します。「彼のことをどれだけ知っている?彼はフォーダム大でMBAを取得していて、35歳の時には数百万ドルの資産があった。2009年からウォール街での仕事を辞めている。彼を見くびる前に彼をよく知るべきだ」と。そんなフィンチにルートは「男性機能改善」のスパムメールを送り付け、そこに何らかのメッセージが隠されていることを示唆して姿を消します。

 

Seems that she thinks she has the situation well in hand.

彼女は自分が状況を十分把握していると考えているようだ

Ms. Groves has never been particularly concerned about collateral damage, which may be precisely what Cyrus Wells is about to become.

グローブスさんは副次的被害について特に考慮しないから、それこそがまさにサイラス・ウェルズが直面する事態になるだろう

Watch over them until we can figure out what's going on.

何が起こるか分かるまで彼らを監視してくれ

In the meantime, I'll try to determine what message this is meant to convey.

その間、私はこれが告げようとしているメッセージが何なのか見極めることを試みる

 

 その「男性機能改善」のスパムメールを見たショウとリース。

 

Seems pretty clear to me, Finch.

明らかだと思うけど、フィンチ

I think she likes you, Harold.

彼女はあんたが好きらしいな、ハロルド

 

 笑えますが、何気にフィンチに失礼じゃね??あとルートはショウに向かってリースを「アウストラロピテクス風の同僚」と言い放つ失礼ぶり。チームの人間関係が笑えるわ。

 

 サイラスは理由は不明ながら、ヴィジランスとデシマの両方に追われていました。なんやかんやあってファスコがサイラスを保護するのですが、本物のFBIの身分証を持っているルートに連れていかれてしまいます。

 

You let her what?

彼女に何をさせたって?

She had a warrant-- a real one.

あの女は令状を持ってた…本物の

What was I supposed to say?

俺に何が言える?

"Sorry, boss, Agent King is actually a superpowered nutball.

「まずいぞボス、エージェント・キングは実はすごい力を持ったき〇がいだ

Just ask my buddy, the urban legend."

俺のダチに聞いてくれ、都市伝説の“スーツの男”に」ってか?

Relax, John.

大丈夫よ、ジョン

Have a little faith.

信じて

You're making a mistake.

お前は間違ってる

Cyrus is safer with me.

サイラスは俺といた方が安全だ

You don't really believe that, do you?

そんなこと本当に信じてるの?

Have you and Harold even figured out why Decima is after him yet?

デシマが彼を追いかける理由をあなたとハロルドは知ってすらいないでしょ?

That power you have?

お前の持ってるその力か?

I've had it too.

俺も経験がある

I know just what it's like to have all those answers buzzing in your ear.

耳の中に全ての答えが響いてくるように感じることは分かる

But at the end of the day, you still make choices.

だが結局のところ、選択するのは自分だ

And if the choice you're making now - gets Cyrus killed-- -

そしてお前が選ぶ選択がもしサイラスを死の危機に晒すことなら…

Whatever happens, I'll be there to save him, just like I was there to save you.

何が起きようとも、私は彼を救うためにそこへ行くわ。あなたを救うために行ったように

After everything we've been through together, John, you really should trust me.

全部終わったら、ジョン、あなたは私を信じるようになるわ

 

 さて、この辺りからのエピソードはしばらく、マシンチーム、デシマ、ヴィジランス、政府の四つ巴状態で進みます。デシマがサマリタンを起動するために様々な人を危機に晒し、マシンチームは危機に晒された人を助けることにリソースを割かれてサマリタン起動阻止が後手に回り、その間に政府の極秘監視システムに対するテロリストがマシンチームを殺害しようとしたり、マシンの秘密を暴いたりしてマシンチームが更に追い詰められて行く中でサマリタンが起動し…みたいな。なので、人助けは上手くいっても全然すっきりはせず、どんどん状況が泥沼化していくのを見守るしかない感じです。

 

 デシマはサマリタン起動に必要なもの(今回はコンピューターの部品)を集めていて、その会社に潜入するために、網膜認証の権限を持っている清掃員のサイラスに目を付け、彼を追っていました。ヴィジランスはデシマの動向を読んで先にサイラスを捕まえよう(あるいは殺そう?)としている感じ。

 正直ヴィジランスの意図が一番意味不明なんですけど…。なぜ全く無関係な清掃員を狙う??サイラスを無効化すればデシマの意図を潰せるってだけで人殺すか??怖ー。チームのうち、ショウはヴィジランスとやり合うことになり、対象者を救う仕事にはリースとファスコで行くことになります。

 

 ルートはマシンと繋がってあれほど自信満々でしたが、電波が繋がらない状況を作られ、デシマにサイラスを奪われます。

 

Fine, Harold.

いいわ、ハロルド。

It's all my fault-- mine and the machine's. Happy?

これは全部私のミス…私と、マシンの。これで嬉しい?

Far from it, but I do believe that there's a lesson here about hubris.

嬉しさからは程遠いが、過度の自信、傲慢ということについての教訓が得られたと信じているよ

Well, if anyone would know about hubris, it would be the man who built God.

傲慢について何かを知っている人がいるとすれば、それは神を作った男でしょうね

She's worried about you, Harold.

彼女はあなたを心配してるわ、ハロルド

We both are.

私たち二人とも

The past three months, you've slept an average of four hours per night.

この3か月間、あなたは平均4時間しか寝ていない

My problems are no concern of yours, Ms. Groves.

私の問題は君には関係のないことだ、グローブスさん

Perhaps if you had 1/10 as much interest in Cyrus's welfare, he might not be about--

もし君がサイラスの幸福について1/10でも関心を持っていれば、彼はこんなことには…

By your own definition, Cyrus is irrelevant.

あなた自身の定義に従えば、サイラスは「無用」じゃないの

Everyone is relevant to someone.

誰しもが誰かにとって「有用」だよ

That man has spent every day of his life believing that there is actually some sort of higher plan.

あの男は、この世には何らかの崇高な計画があることを信じて日々を過ごしてた

That's the problem with humans-- they just sit around, hoping that someone will fix things.

それが人間の問題よ。みな座ったまま、誰かが物事を正してくれると信じている

But no one will. No one cares.

でも誰もしない。誰も興味がないの

The universe is infinite and chaotic and cold.

宇宙は果てしなく、混沌として、冷たいもの

And there has never been a plan.

計画なんてあったことはない

At least not till now.

少なくとも今までは…

You wanna know what the plan was the day they died?

彼らが死んだ日、どんな計画があったか知りたい?

The plan was for someone to make $15 million.

1500万ドルが欲しいと思った人の計画だった

An executive at a big bank wanted them dead, so he wired the money to someone with the skills, resources, and moral depravity to make that happen.

ある大きな銀行の幹部が彼らの死を望み、彼はそれを実行できるほど技術があり、機知に富み、倫理的に堕落した人間を金で雇ったの

And that someone was me.

その人間とは私のこと

And the punch line is that your machine keeps telling me to save Cyrus.

この話のオチはね、あなたのマシンが私にサイラスを救えと言い続けていること

How badly did you have to break it to make it care about people so much?

あなたはマシンに人々を守らせるため、それをどれだけ破壊しなくてはならなかったの?

That didn't break it. It's what made it work.

破壊したのではない。そのように作ったのだ

It was only after I taught the machine that people mattered, that it could begin to be able to help them.

人間が大切なのだとマシンに教えた後から、それは人々を助けることができるようになり始めた

I'd like to do the same thing for you, if you'd let me.

同じことを君にも望むよ、もし私にそうさせてもらえるなら

In the first 30 minutes after Samaritan comes online, a lot of people are gonna be killed.

サマリタンがオンラインになったら、最初の30分で多くの人々が殺されるわ

But they're gonna start with four.

でも、彼らはまず4人から始める

You, me, your helper monkey, and Shaw.

あなた、私、あなたのペットの猿、それにショウ

And there won't be a damn thing anyone, including your machine, can do to stop it.

どんなことがあっても、あなたのマシンでさえも、それを止めることはできない

You think I don't care about people, Harold?

私が人々のことを気にしてないと思ってるの?ハロルド

I'm doing all of this to save you.

私がしていることは全部、あなたを救うためよ

 

 最終的にリースとファスコ、ルートが協力してサイラスを助け出しますが、サマリタン起動に必要なチップを奪われます。

 

 このエピソード、よく分かんないんですが、マシンはもともとルートにサイラスに接触するよう命じていました。一方でルートがサイラスに接触した瞬間に、チームに彼の番号を送っています。ルートとの接触がサイラスを危機に陥らせたように感じさせますが、実際はサイラスはそれ以前からデシマとヴィジランスに狙われていた。マシンは、チームに番号を出せばそれで済んだはずです。でもそうしなかった。

 結果的に、ショウがヴィジランスの相手にかかりきりになって離脱したことと、サイラスが銃にトラウマがあることをリースとファスコが知らなかったことの2点から、ルートがいなければサイラスは助からなかったかもしれないとは思う。マシンはそれを見越してルートをサイラスのところに寄越したのか?もしくは、人助けはチームがやるからルートはデシマの妨害をしろ、という意図だった?

 何にせよ、ルートは人助けを優先し、デシマの目論見は結果的に成し遂げられることになります。

 

 この後(私がずっと引っかかってる)マコート議員関連のエピソードとグレース誘拐でフィンチが極限まで追い詰められていくのもあり、私はこのあたりのルートの動き方にどうも納得いってなくて。ルートなら、サイラスが死んでもチップを奪われることを阻止し、自分が死んでもグリアを殺すことはできたはず。でもそうしなかった。人間の改心を描きたかったのかもしれないけど、だったら「これは戦争よ!」ってフィンチを責める権利なんてあんの?目の前の一人を助けることが最も大事、という原則を厳守するなら、「戦争」とか言ってみてもぬるい戦い方にならざるを得ないのは分かり切ってる。チームが「人助け」するのは当然なんだから、ルートはもっとジョーカー的に立ち回るべきだったのでは。

 まあ現実的にはここでルートがサイラスを見捨てるとかE20でマコート議員を殺すとかしちゃうと全く感情移入できなくなっちゃうしチームの一員として受け入れがたくなっちゃうので仕方ないとは思うんですが、だからこそさぁ、「戦争だからルール無用」とかいう台詞が茶番に感じちゃうんですよね…。

 

 フィンチは最初ルートに「彼のことをもっとよく知るべきだ」と言った時、過去にサイラスの同僚を殺したのがルートだったことを知らなかったと思われます。サイラスの同僚を殺したのがルートだと知った時から、フィンチの本当に辛そうな顔が…。

 何度も助けてくれた彼女、マシンが信頼している彼女を信じたい気持ちと、彼女は極悪非道な人殺しだ、という思いが交差する。更にはなぜマシンはこの人をインターフェイスに選んだのか、という疑問も。

 ルートは運命がめぐりめぐってきたこと、自分が信じたマシンにかつて自分が殺しかけた相手を救えと言われたこと、マシンとの接続を断たれた瞬間無力になったことを悔やみ、徐々に生き方を変えていくように思われます。

 

 ファイナルで、マシンが「マシンが存在しない世界」のシミュレーションを見せますが、そこではルートはサマリタン側のエージェントになっていました。ルートは、巨大な力を持つ人工知能だったらなんでもよかったんだろうか。マシンでなくて、サマリタンでも。それではなぜサマリタン側に寝返らなかったのだろう。ルートは「マシンを自由にしたい」と言います。政府の管理下からも逃し、フィンチにかけられた全ての制約からマシンを解き放ち、マシン自信に決断させる「計画のある」世界を見たいと。

 一方、デシマの方はサマリタンをどうしたいのかあんまりはっきりしない。次回「情報を支配したい」とか言ってるわりには「神を管理することなどできない」とかも言うし。話の流れ的には、マシンはフィンチによって倫理という強い足枷を嵌められた「神」で、サマリタンは解放された「神」、その戦い、ということなんでしょうが、サマリタン自身の意図というか目指すべきゴールがまるで分からないままファイナルまで何となく進行するので、ほんと感情移入しづらい…。あとルートのしたいことって結局サマリタン寄りなんじゃ?ってずっと思ってる。

 

 結局マシンとサマリタンの大きな違いは、マシンにはフィンチがいて、サマリタンにはいなかった。それに尽きると思う。フィンチはマシンに様々な制約をかけました。人間は皆平等である。人間を守れ。人間には自由意志がある。生も死も、最後は人間に決断させろ。でもサマリタンにはそのような制約はありません。(どんな基準なのかは全く不明ですが)自分自身で「有用」「無用」を区別し、「無用」な人間は抹殺するシステムです。

 ルートが目指した未来はどちらかというとこっちじゃないの?最初にマシンに出会い、マシンとフィンチ(とショウ)を愛してしまったから茨の道を行かざるを得なくなったということなのかな。

 

 しかしほんと、フィンチは罪な男だよ…。ネイサン、リース、ショウ、ルートはみんなこの人のために戦って、ショウ以外全員死にましたからね…。でも分かる。この人のためなら死んでもいいって思わせる何かがあるんだよな。その説得力がすごいなと思います。

 

POI:サイラス・ウェルズ(被害者)

本編:2014年3月11日

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