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02x02 - Bad Code 感想

 POI感想の注意書きです。

yuifall.hatenablog.com

 さて、リース君は午前8時にカーターとファスコを呼び出し、S1ラストでかっこよく「俺が奢る」と宣言した通りに奢ってくれます。

 

So what's this all about?

一体これは何なの?

What do you mean?

どういう意味だ?

I promised you guys that round of drinks.

俺はあんたたちに奢ると約束しただろう

It's 8:00 AM.

朝の8時よ

Which means Finch has already been gone 24 hours, but we're gonna get him back.

つまりそれはフィンチが拉致されてからすでに24時間が経っていることを意味し、俺たちは彼をまだ取り戻せていない

This have a raw egg in it?

これ、生の卵入ってる?

The alcohol will kill the salmonella.

アルコールがサルモネラを殺すだろう

You find out anything on the girl, Carter?

その少女について何か分かったか、カーター?

 

 「奢るってあんた、朝8時だけど」「つまりフィンチが拉致されて24時間が経っている」「生卵入ってる?」と全然噛み合わない3人の会話が笑えます。生卵入った酒ってなんだろう。ちょっと気持ち悪いですね…。

 

 前回アリシアの捜査をさせていたのはカーターだったのに、今回はカーターをテキサスに同行させファスコにアリシアの捜査をさせるリース、カーターと旅行したかっただけじゃねーの?まあ、ファスコを残したおかげでハーシュの目を欺けたのかも…、というかマルウェアをファスコの携帯にしかインストールできなかったからファスコを残したのか?

 さてカーターを無理矢理テキサスに駆り出したわけですが、ホテルが1部屋しか取れずにしかもワンベッド。リースはカカシみたいに突っ立ってるしカーターは唖然としてて、このシーン笑った。「で、どこで寝るわけ」「俺はあまり寝ないし、バスタブでも」ここでちらっとバスルームを見るが、シャワーのみでバスタブはない(笑)。「床でもいい」だってさ。車で寝ろや。ちょっとはカーターに気を遣って!女性なのよ!

 

 リースが手に入れた手掛かりは1991年に失踪したハンナ・フライ。生きていれば35歳。彼女がルートだろう、と足取りを追うつもり満々のリース。カーターと調べまわり、どうもハンナは生きているかも?という手がかりに辿り着きます。ハンナはトレントという男と共同で銀行口座を開いており、麻薬組織から10万ドルを奪い取っていた。トレントはその麻薬組織に殺され、10万ドルは全額現金で引き出されています。リースは、これはルートの手口だと確信し、わずかな手掛かりから彼女の行方を追います。一方カーターはトレントがハンナを連れ去ったと考え、地元の保安官と一緒にトレントの妻に話を聞きます。ハンナはすでにトレントに殺され、庭に埋められていた…。

 ルートはハンナではなく、ハンナの2歳下の友人のサム・グローブスでした。ここでは「サム・グローブス」とみんな呼んでますが、Wikiによればハンナの失踪に関する捜査書類には「サマンサ・グローブス」と書いてあるみたいです。そうなのか。ショウと名前被ったから後で変えたのかと思ってた(ルートはサム→サマンサ、ショウはサム→サミーン)。最初からサマンサだったようです。

 

 ハンナは1991年に14歳で行方不明になり、現在生きていれば35歳。つまり1977年生まれ。てことはルートは1979年生まれの33歳か。「10年前に母親が亡くなりその後の行方が分かっていない」とのことでしたが、23歳までテキサスにいたとはとても思えないので、それまでは時々母親に会いに来ていたけどもう立ち寄ることもなくなったということなのかな。後日「私は12歳から隠れて生きてきた」と言ってたから、ハンナの失踪とほぼ同時に偽名で活動を始めたということなんでしょうね。

 実際この時にすでにRootというハンドルネームを使っているし、ハンナとトレントの共同名義の銀行口座が開かれたのは1993年(ハンナが行方不明になった2年後)で、トレントが殺されたのは15年前(事件の6年後)ということは、ルートがハンナとトレントの共同名義の口座を作ったのは14歳の時、トレントを嵌めて殺させたのは18歳の時、ということになります。

 フィンチは本名も出身地も生年月日も不明ですが、ルートはここでルーツが完全に明らかになります。これはいいのかな。ハンナのことが分かったこと、リースにお礼言っていたからいいのかな。

 

 深読みかもだけど、ルートは同性愛者なのかな?って感じさせるエピソードでもあります。ハンナに恋してたようにも思えるし、この件で男性が好きではなくなったようにも思える。まあ、思春期にありがちな“エス”的な好意かもしれませんが…。

 あとルートは「少女期のトラウマで私がこうなったと思ってるの?あなたって優しいわね」とフィンチに言っていたから、別にこの件で人格が変わったというわけでもないのかもしれない。実際、ルートがしばしば口にする Bad Code は、生まれつき悪の人間、という意味だそうなので、ルートは自分も一種の Bad Code だと認識していそうです。

 

 リースが色々と手を尽くして調べた結果ルートはメリーランドにいることが分かりますが、NYとメリーランドそれなりに距離あるしテキサスからは遠すぎますね…。アメリカの地理とか移動手段詳しくないけど、テキサスからそんなすぐにメリーランドに行けるのか??プライベートジェットだかチャーター機だかで行くとか言ってましたが、テキサス-DC間だといくらするんだろう…。ちなみにググったら羽田-那覇で1000万弱くらいでした。

 そういえばリースとファスコが「ワシントンD.Cの愛人宅が~~」とか話しているのですが、ここでファスコが「愛人宅」を Love Shack って表現していておおってなりました。これってThe B-52'sのあの曲のことか?

 

 さてこの間ルートは何してるかっていうと、ずっとデントン愛人宅でデントンを拷問してました。マシンの居場所を聞き出すためですが、デントンは拷問に屈せず何も語ろうとしません。ルートは2人に「どちらかが次のステージに進める」と、先に自白した方が助かることをほのめかしますが、この手じゃフィンチは口を割らないでしょ…。だって自分が話せばデントンは殺されるわけだし。しかもルートはどっちにしろ(どちらが話すにしろ)デントンを殺し、マシンに直接接触するまでフィンチを連れ回し続ける気満々だし。

 フィンチは「頼むからやめてくれ」とルートに頼み、ルートはデントンを吊るすのをやめて自白剤入りの水を飲ませ、自分はガソリンを入れに出かけます。フィンチはルートの隙をついてデントンを助けようとするのですが、デントンはルートを殴ると必要なことを聞きだしたらフィンチを殺そうとします。

 この時「マシンにアクセスできるのか」と聞かれて「リモートで変更を加えることはできない」「変更しようと思ったらサーバーへのアクセスがいるということか」「そうだ」とフィンチは答えますが、後から考えるとこれもおそらく嘘ですね。マシンが変更を受け付けるのは攻撃を受けた時だけで(だから、リモートか否かは関係ない)、しかもその攻撃によってマシンは管理者をマシン自身に設定する設計になっている。フィンチは死ぬことを恐れていないから、嘘も平気でつくんだね。もしかしたらこれも計算だったのかもしれない。だって本当のことを言ったらおそらくルートはマシンにリモートで攻撃を仕掛けるし、「直接サーバーに触らなければアクセスできない」と答えればマシンの居場所を突き止めるまで彼女は何もできないと考えるだろうから。

 ところで、デントンもネイサンも知らなかったマシンの居場所をフィンチが知っていたのはなぜなんだろう、ってずっと考えてましたが、S3E16 RAMでダニエル・ケーシーが「太平洋側の北西部」って話してたのでそれで特定したのかなと思いました。

 

 ルートはこの後ゆっくりシャワーとか浴びちゃったりしてからリースの追跡に気付き、デントンを射殺してフィンチを連れ出します。

 ところでこの旅の間フィンチはシャワーやトイレはどうなってんの?「あなたが何かしたら周りの人を殺す」方式でコントロールしてある程度は自由にさせてたの?

 ルートは基本的にリースを馬鹿にしすぎですが、この時の台詞もひどいです。

 

Well, well, it seems I underestimated your knuckle-dragging friend.

あらまあ、私はあなたの粗野なお友達を低く見積もっていたみたいね

How he got there I do not know.

どうしてここが分かったのか分からないわ

Did the machine help him, do you think?

マシンが彼を助けたんでしょ、どう思う?

Something for us to discuss on our journey.

旅の間に話し合わないとね

 

knuckle-draggingは、「体は大きくて粗野だが馬鹿な男」みたいな言葉らしいです。リースそんなんじゃないけど!

 リースが追ってきていると知ってフィンチも驚いたんじゃないかな。フィンチはマシンがリースに自分の居場所を伝えるはずがないと分かってるし、仕事を引き継がせる気はあったけど自分を助けるための手がかりは一切残してないわけだし。しかし、ここでリースが追ってきたことを知った以上どうにかして場所を知らせようと自分のカフスボタンと暗号を残します。

 

 この辺の、テキサスのエピソードがフィンチの居場所に近づいてくる感じとてもわくわくします。デントンの愛人宅に辿り着いたリースはフィンチの暗号を即座に解読し、駅へ駆けつけます。駅でルートは追ってきたリースに気付き、フィンチが何かをしたと分かって激怒、駅員を撃とうとします。フィンチはそれを阻止しようとリースに居場所を知らせ、ルートに体当たりして弾を逸らします。

 ここでフィンチはルートに「彼は君が間違っていることを証明するために来たんだ。全ての人間が Bad Code ではない」と言います。最初、この言葉の真意がよく分かりませんでした。なぜ、リースがフィンチを助けに来ることが「ルートは間違っていて、全ての人間が欠陥品ではない」ことの証明になるのか?

 でもこの後のS2E4の Triggerman で、フィンチが「やはり人間はBad Codeではない」と話すエピソードがあり、そこでなんとなく分かった気がしました。つまり、過去に傷があったとしても人は変われるということが言いたいんじゃないかなと。生まれつきの悪人がいるとか、人は結局変われないとか、そんなことはないんだとルートに言いたかったんじゃないかと思いました。リースはかつて“人殺し”だったけど、今は“人助け”のために生きてる。

 

 それにしても後日ルートが味方になることを考えるとルートも Bad Code という考え方を改めざるを得なかったのかもしれませんが、サマリタン側から見ればマシン陣営は Bad Code なのかもしれず、結局「正しさ」って誰かが一元的に決めつけられることじゃないんじゃ、って思うわ。フィンチが最後したことは完全にテロだし、自分でも正しさをかなぐり捨てたことを認めてる。一体何が「正しさ」なのか、自分の「正しさ」のために人は何をするのか、ということもこのドラマは繰り返し問いかけてきます。

 

 ここからラストまでのシーン好き。

 

Am I hit?

私は撃たれたのか?

I don't think so.

そうは思わない

Sorry it took so long.

時間がかかって悪かった

I really didn't intend for you to come and find me, Mr. Reese.

私は本当に、君に来て私を探し出してもらう意図はなかったんだ、リース君

There are other people that need your help.

君の助けを必要とする人は他にいる

Well, you saved my life once or twice, Harold.

あんたは俺の命を1度か2度救ってくれただろ、ハロルド

Seemed only fair I return the favor.

礼をするのは単に公平なことだと思うが

 

Hey, yourself. Where's the dog?

ねえ、犬はどこ行ったの?

Wonderboy came and took him.

ワンダーボーイが来て連れて行ったよ

So we got our friend with the glasses back, huh?

ということは、眼鏡のお友達は戻ってきたんだな?

Yeah, we did.

ええ、そうよ

Buy you a drink?

一杯奢る?

Long as it don't have egg in it.

卵が入ってないやつならな

 

Harold, meet Bear.

ハロルド、ベアーだ

Unfortunately, my apartment has a strict policy regarding dogs.

残念だが俺のアパートは犬に関する厳密な規則がある

I have a strict policy regarding rare first editions.

私も希少な初版本に関して厳密な規則があるよ

Namely, don't eat them.

すなわち、それを食べるなということだ

Bear, laat vallen.

ベアー、それを離しなさい

Asimov.

アシモフか…

He has expensive taste.

彼は高尚な趣味を持っている

I'm sure we'll get along.

うまくやっていけそうだな

Mr. Reese.I owe you a debt.

リース君。私は君に借りができた

 

Is this a bad time, John?

邪魔したかしら、ジョン

I wanted to thank you... for finding my friend Hanna... giving her a proper burial.

ありがとうと伝えたくて…私の友達のハンナを探してくれて、彼女を適切に埋葬してくれて

I won't forget it.

このことを忘れないわ

Come near us again, and you will be sorry.

もう一度俺たちに近づいたら後悔するだろう

I don't think so.

そうは思わないわ

Tell Harold I'll be in touch when I'm ready.

私の都合のいい時また連絡するってハロルドに伝えて

 

 「待たせて悪かった」というリースに「頼んでない」とフィンチ。絵に描いたようなツンデレ(の、ツンのとこ)ですが、リースが来るかもしれないとどの程度予測していたのだろうか。自分を見捨てて番号対象者を助ける仕事を淡々と続けると思ってた??純粋に仕事として考えても、テクニカルサポートや資金はどうするんだって問題もあるし…。その辺も対策はしてたんかな。テクニカルサポートはともかく金の面では。

 フィンチは、S2ラストまでに明らかになる色々のこともあって、リースに個人的に好意を抱かれることを警戒しているようにも思えます。フィンチ的にはずっとリースを裏切っているようなものだし…。来るかもしれないけど来なくても仕方ないし、あと来たくても当然情報不足で来られない可能性があるとは思っていただろうから、可能性としては3割くらい期待してた感じかなあ。

 何度も「仕事をありがとう」と言うリースに対して「借りができた」としか言わないフィンチです。最後S5E13でリースがフィンチに「借りはまとめて返す」とか言いますが、この2人の貸し借りって一体どうなってんだ、って思うよ…。

 

 このエピソードを機にリースがフィンチの番犬(束縛彼氏??)と化しますがそれはそれで面白いしS2の見どころは個人的にはそのあたりですね。

 

POI:ハンナ・フライ(被害者)

本編:2012年5月19日~20日

フラッシュバック:1991年4月15日、ルート(ハンナとテキサスの図書館)