いろいろ感想を書いてみるブログ

短歌と洋楽和訳メインのブログで、海外ドラマ感想もあります

01x01 - Pilot 感想

POI感想の注意書きはこちらです。

yuifall.hatenablog.com

When you find that one person who connects you to the world, you become someone different.

世界と結び付けてくれる一人の人を見つけることができたら、違う人間になる

Someone better.

より良い人間に

When that person is taken from you...

その人が奪われたら

What do you become then?

その時人はどうなるのだろうか

 

 

 冒頭のシーン見るといつも切ない気持ちになります。幸せだった頃のリースとジェシカ。「世界と自分を結び付けてくれるたった一人の人」から始まり、次にリースがホームレス姿になって電車に乗っているシーンに変わります。

 POIのPilotはすごく評判がよかったみたいなんですが、何度見ても完成度の高さに驚きます。主役2人がまずとてもいいし、リースにどんなバックグラウンドがあって、なぜあのように落ちぶれて、そしてこんな無茶な仕事をなぜ受けたのかというモチベーションが分かるようになっています。一方フィンチは謎だらけなのですが、政府の大規模監視システム「マシン」を構築し、大切な人を失って今「人助け」の仕事をしている大金持ちだということは何となく分かります。

 この「世界と自分を結び付けてくれるたった一人の人」がリースにとってずっと大切なテーマだったということが分かるので…。最後まで見て最初に戻ると泣きそうになるわ…。

 

 地下鉄でチンピラに絡まれて乱闘になるリース。乱闘っていうか、一方的にぶちのめしてるだけですが…。まだ生気あったんかな、一応。めっちゃ強いですね。インパクト大です。

 この時、監視カメラの顔認識がすでに黄枠なんですよねー。マシンの「黄枠」って、マシンの存在を知っている人、って意味かと思っていたのですが、リースに関してだけは別に思えます。リースはフィンチに出会う前のフラッシュバックシーンの中でも常に黄枠で認識されているし、マシンはリースを最初からずっとassetとして認識しているように思える。うーん、でもassetというのとも違うのかなぁ。ファスコは長いことマシンにassetとして認識されていたけど白枠だったし、assetじゃなくても黄枠の人(マシンを知っている政府の人とか、ヘンリー・ペックとか)もいるし。S5最後あたりの「マシンがない世界のシミュレーション」ではリースもいなかったから、マシンはフィンチを起点として自分とリースの運命を結び付けているようにも感じます。

 最後まで見てから見直すと、こういう細かい演出に2人の運命の分かちがたさが見える気がする。マシンは2人が出会う前からリースとフィンチを結び付けているように見えるし、リースがフィンチと出会って一緒に仕事をすること、2人の運命が分かちがたいことを最初から知っていたように思えます。

 

 この時4月14日の午前3時24分、とカメラにありますね(ただしドラマ内の時間では9月頃のようです。初回放送は2011年9月22日だとか)。乗っているのはJ trainでBklyn Bridge-City Hall行き、となってます。捕まったのはCanal St駅らしい。S4E20でカーターはリースに「ブルックリンブリッジで死ぬつもりだったのでは」とほのめかしますが、Wikiによるともともとリースが自殺を試みる予定だった場所はマンハッタンブリッジだったようです。

 

 午前5時過ぎ頃、リースが作中で初めて会話する人物はカーターです。

 

You know, you could have done me a favor and let those guys land a couple more punches.

もしあなたが私に願い事をしたかったなら、あの男たちにもう少し殴らせるべきだったわね

 

 字幕では「一発くらい殴らせないと被害者とは言えないわね」となってました。次に

 

I'm Carter. You didn't give us a name. You know, it's funny.

私はカーター。あなたは私たちに名を名乗らなかった。おかしいわね。

Seems like the only time you need a name now is when you're in trouble. So am I in trouble?

今名前が必要になる唯一の時は、トラブルに巻き込まれた時だと思う。つまり俺はトラブルに巻き込まれているのか?

 

 ここも「名前が必要なのはヤバい時だけだ。つまり俺は今ヤバいのか?」となっていてうまいなーと思いました。

 ちなみにDVD特典のロングバージョンでは、「人生で幸せな時は“パパ”とか“あなた”とか呼ばれて名前は必要ない。名前が必要なのはヤバい時だ」となっていて、この会話の意味がより分かりやすくなっていました。

 この時の会話で2人が軍経験者であること、リースが軍人もしくは特殊部隊出身であること、カーターの「知り合い」が従軍経験で傷つき、立ち直るのに時間を要したことが語られます。S3の伏線張ってたんだなー。あとはリースの指紋がいくつかの殺人現場で採取されていたことや4つの州で手配されていることが明らかになりますが、これは一体何絡みで??政府の仕事絡みだったら指名手配されなくない??後から記録抹消されてることが分かるので、結局政府絡みだったのかなあ。

 リースを謎の弁護士が引き取りに来て、屈強な男たちが「ボスが待ってる」とか言いますが、後から見直すとちょっと笑えるな。この人たち誰だよ(笑)。この時追ってきたカーター刑事、脚長すぎじゃないか??あと、チンピラが膝撃ちされた後カーターにそれを伝えてる刑事さん、シマンスキー刑事だったような気がする。生きててほしかったし、S5E12の「マシンがいない世界のシミュレーション」でも登場するから、みんな好きだったのかなーって思います。

 

 リースとフィンチの初対面のシーン。まあ、フィンチにとっては初対面でも何でもないんですが…。

 

Do I owe you money?

あんたに金を借りてたか?

'Cause I'm, uh...Running a little short at the moment.

なぜなら俺は、あー、今金がない

You don't owe me anything, Mr. Reese.

君は私に何も借りはないよ、リース君

That's the name you prefer, isn't it?

君はこの名前がいいだろう?

I know you've had several.

君がいくつかの名前を持っていることは知っている

Don't worry, I'm not gonna tell anybody about you.

心配はいらない、私は君のことを誰にも話さない

You don't know anything about me.

あんたは俺のことを何も知らないだろう

I know exactly everything about you, Mr. Reese.

私は君のことをまさに全て知っているよ、リース君

I know about the work you used to do for the government.

君が政府のために仕事をしていたことを知っている

I know about the doubts you came to have about that work.

その仕事に疑問を抱くようになったことを知っている

I know that the government, along with everybody else, thinks you're dead.

政府が、他の皆と同様、君が死んでいると思っていることを知っている

I know you've spent the last couple of months trying to drink yourself to death.

ここ数か月は死のうとして酒を飲むことに時間を費やしていることを知っている

I know you're contemplating more efficient ways to do it.

そしてそれを成し遂げるためのより効果的な方法を企てていることも

So you see, knowledge is not my problem.

それで、分かっただろう、知識は私の問題ではない

Doing something with that knowledge...

これらの知識を使って何かをしようとしている

That's where you'd come in.

君にも協力してほしい

And you can call me Mr. Finch.

私のことはフィンチさんと呼んでくれ

I think you and I can help one another.

君と私はお互いに助け合えるはずだ

I don't think you need a psychiatrist or a support group, or pills...

君が必要としているのは精神科医でもサポート団体でも薬でもない

What do I need?

俺が何を必要としてるって?

You need a purpose.

君に必要なのは目的だ

More specifically, you need a job.

もっと特異的に言えば、仕事だ

 

 見知らぬ男が自分のことを何でも知っている!めっちゃビビる初対面のシーンです。冒頭10分くらいで、リースもフィンチもただものではないことが分かる構成になっててすごい。

 それにしても初対面のフィンチは本当に、なんか鳥っぽい風貌です。ふわふわで逆立った髪型といい、丸い銀縁眼鏡の奥の無表情で大きな目といい。Wikipediaには

 

ニューヨーク『デイリーニュース』のデビッド・ヒンクリーは、パイロットに5つのうち4つ星を与え、カヴィーゼル、エマーソンの演技について、カヴィーゼルは「この役に正当性をもたらし」、エマーソンは「ミスター・フィンチとして魅力的だ」とコメントした。

 

とあります。リースとフィンチは、他のキャスティングは考えられないですよね。2人ともすごく魅力的でハマってる。最初の全く打ち解けていない2人の硬い感じも、後の展開を考えるととても萌えます。てかリース、フィンチのことミスター・フィンチって呼んだことあった?

 

 フィンチはどうして「Mr. Reese」を選んだんだろうな。S1E8で分かるのですが、「リース」はカーラ様がつけた名前のようです。リースにとって特に思い入れのある名前のようにも思えないのですが…。まあここで本名呼んでたらブチ切れて終了してたかもしれませんが。

 ちなみに「ジョン」の方は本名っぽいです。私はこの名前ずっと「身元不明者」「名無し」みたいな意味の「ジョン」だと思っていたのですが、ニューロシェルの回で過去の軍歴のファイルがちらっと見えるけど、そこでは「ジョン・H・○○」みたいになってました。あと最終話でも子供の時から「ジョン」って呼ばれてたのでこれは本名かと。

 それにしてもこの2人は最初から最後まで本名分からなかったな…。二人とも偽名で出会って偽名のまま別れたんだなーとこのシーンみてて改めて思いました。。

 2人が会った場所、「クイーンズボロブリッジ」と書いているサイトさんと「ブルックリンブリッジ」と書いているサイトさんがあり、Pilotのもともとのプロットでは「ブルックリンブリッジ」だったらしいのですが、実際は「クイーンズボロブリッジ」のようです。「座っているのはクイーンズブリッジパークのあたりだろう」という情報を得てストリートビューで見たところ、それっぽいアングルの映像が見られました。

 

 リースはこの後フィンチと一緒にクイーンズからマンハッタン島に戻りますが(8分署はロウアーマンハッタンにあるみたい)、自分のことを全部知られているから一応どんな奴か調べとこうとか思ったのかな。あの場で即座にお断りはしなかったようですね。

 この後フィンチは「仕事」の説明をします。NYCでは18時間に一人の割合で殺人が起こる…。本当かよ。なんてことだ。突発的な事件もあるだろうから、マシンが検知するのは1~2日に1件くらいでしょうか。多分我々の知らないところで年間250人くらい助けたんでしょうね。

 「凶悪犯罪に巻き込まれる人のリストがある。リストのトップにいるのは彼女だ。被害者か加害者かは分からないが、必ず事件に巻き込まれる。事件が起こるのを止めたい」と話すフィンチに、「あんたは暇な大金持ちで、彼女はあんたの元妻かなんかだろう」と興味を失い立ち去るリース。

 まあ、荒唐無稽な話ですからね…。

 

 この後の展開もなかなか衝撃的です。

 どっかの安宿で髪を切り、髭をそって風貌を変えるリース。ここで「イケメンだったんかい!」と誰もがびっくりします(笑)。いや、最初のベッドでの映像で薄々分かってはいたけどさ…。でもあの幸せなリースよりも、自暴自棄のリースは凄みのある美貌ですね。

 それにしても、その辺に落ちていたむさくるしい男を拾ってきたら特殊スキル持ちのイケメンだった…というまるで商業BLのような展開です。まあ、たまたま拾ったわけじゃなく重度ストーキングの結果なんですが…。

 今は亡きブラウン管テレビからニュース映像が。

 

Tonight police are looking for a homeless man for further questioning.

警察はあるホームレスの男に更なる追及をするために彼を追っていると今夜発表しました

The unidentified man was originally believed to be the victim of a violent assault on the subway.

その身元不詳の男はもともとは地下鉄での暴力事件の被害者だと思われていました

But now police consider the man a person of interest in a number of crimes nationwide.

しかし、今警察はその男を全国規模の複数の犯罪に関与した重要参考人と考えています

 

 Person of Interest という言葉がここで初めて出てきます。もしかしたら最後かもしれない。

 リースは「7人の侍」を見ながら酒を飲んで寝てしまい、ジェシカの夢を見ます。彼女とメキシコで過ごした時間…。

 電話で目を覚ますと、全然違うホテルにいて、しかも手をベッドのヘッドボードに拘束されている(笑)。フィンチ、過激だなー。あの屈強な男たちにやらせたのかと思うと笑える。

 

You need to understand, Mr. Reese, the information I have is incomplete, but it's never wrong.

君には分かってもらう必要がある、リース君。私が持つ情報は不完全だが、決して間違わない

You need to know what it would be like to be forced to listen to someone get murdered, and not be able to do anything about it.

誰かが殺されるのを聞かされ、それに何もできないのはどういう気持ちか分かってもらう必要がある

 

 このホテルはリッツカールトンNYだそうです。セントラルパークの真ん前の超高級ホテル。ここで鏡叩き割ったりドアこじ開けたり殺人現場にしたりやりたい放題です(笑)。

 女性の悲鳴を聞いて隣の部屋に押し入ると、そこには旧式のテープレコーダーが回っており、「2008年8月12日、午前1時37分」という音声が流れます。これは3年前、この部屋で殺された女性の悲鳴だった。

 

You were too late for her.

君は彼女には遅すぎた

Just like you were too late for your friend Jessica.

君の友人だったジェシカを助けるのに君が間に合わなかったように

You were halfway around the world when she was killed.

彼女が殺された時君は地球の反対側にいた

What the hell do you know about it?

あんたがそれについて一体何を知っているんだ?

It's the truth. You left the government because they lied to you--

真実だよ。君は政府を去った、なぜなら彼らが君に嘘をついたからだ

I never will.

私は決して嘘をつかない

I think all you ever wanted to do was protect people.

君がしたかったのは人々を守ることだけだった

It's a wire-tap recording.

これは盗聴テープだ

NSA or FISA. Government.

アメリカ国家安全保障局か?Foreign Intelligence Surveillance Actか?

But you're not government.

いや、あんたは政府の人間じゃない

No, I'm not.

そうだ、私は政府の人間ではない

I guess you could call me a concerned third party.

憂慮する第三者とでも呼んでくれ

You couldn't have saved this woman...

君はこの女性を救えなかった…

Or your friend.

君の恋人と同様に

But you could have if you had have known in time.

だがもし時間に間に合うようにそれが分かっていたら、救えたはずだ

And that's the other thing I'm offering you, a chance to be there in time.

私が君に提供できる他の事は、時間に間に合うようにそこにいるチャンスだ

It's not too late for her.

彼女にとってはまだ遅くない

You could help me stop what's about to happen.

これから起こることを止めるのを手伝ってくれ

The question is, will you?

そうしてくれるか?

 

 ジェシカのことを持ち出され、激昂してフィンチの首を絞めようとするリース。フィンチの煽りテクまじで半端ないです。でも、首を絞められながらも「私は嘘をつかない。君は人を守りたかっただけ」と話し、リースは手を緩めます。

 この後のリースの、というかカヴィーゼルさんの演技すごくて…。「これは盗聴テープだな。NSAか?違う、あんたは政府の人間じゃない」って話す時、泣きそうなんですよね。声が…。どうやったらこんな声出せるんだろう。。ジェシカのことを持ち出され、女性の悲鳴を聞かされて心はずたずたになってる。でも、フィンチに「今度は間に合う。私は君に生きる目的だけではなく、人助けに間に合うチャンスを提供する」と言われ、ジェシカと同じ金髪の女性の写真を見せられて、「やってくれるか」と畳みかけられ、リースはかすかにうなずきます。

 この時の表情…。S3E10の『悪魔の取り分』で「嫌だ…!」って銃を撃とうとして弾が出なかったとき、縋るような顔つきでフィンチを見つめたリースのことを思い出しました。寄る辺ない目でフィンチを見て、少しだけうなずいて。

 このシーン、マジで心臓を撃ち抜かれますね。毎回何度もリピート再生してしまう。この後に「Person of Interest」の画面が入る演出も神がかってます。

 それにしても後から気づいたのですが、フィンチはここではっきり「彼女が殺された時」と言ってますが、ジェシカは公的には交通事故になっているはず…。リースがジェシカの死の真相を確信したのは、もしかしたらこの瞬間だったのかもしれない、と考えました。まあ、「交通事故によって“殺された”時」、と解釈することも不可能ではありませんが。

 

 次にリースが案内されたのは廃図書館です。S5見た後戻ってくると懐かしすぎて涙出そうになるわ。。

 

This building was sold to a bank that I control, which promptly declared bankruptcy.

この建物は私が支配する銀行に売られ、それは即座に倒産を宣告された

So the property's in a kind of limbo.

だから所有権は宙に浮いている

It doesn't exist.

実体がない

Neither do you. I did a little digging.

あんたと同じだな。少し調べたんだ

I recognize, Mr. Reese, that there's a disparity between how much I know about you and how much you know about me.

私は認識しているよ、リース君。私が君について知っていることと君が私について知っていることの間には格差がある

I know you'll be trying to close that gap as quickly as possible.

君は可及的速やかにその差を埋めようとするだろう

But I should tell you I'm a really private person.

しかし君に言っておくよ、私は非常に秘密主義だと

 

 床に本が散らばっていて、「私がコントロールしている銀行に売られた図書館で、所有権は宙に浮いており、実体がない存在だ」と。いや今さりげなくすごいこと言ったよね??銀行をコントロールしてんの??フィンチの大富豪ぶりがちょっとずつ垣間見えてときめきます。

 あと先ほどから「憂慮する第三者」「私は秘密主義者」と後々まで使われる名言がどんどん飛び出してきてときめきが止まりません。

 ちなみに作中ではここはMadison Ave and (possibly) East 37th Stあたりらしい。マンハッタンのど真ん中じゃないですか。この廃図書館本当に好きだった…。

 

 初回のためか、フィンチよりリースの活躍が目立っていて、画面的に見栄えがしてよかったですね(笑)。私はフィンチ派なんですがそれでもリースが活躍するシーンは超ドキドキします。めっちゃかっこいいよね!チンピラから銃を奪いに行って膝撃ちまくるシーン、警察が乗った車に正面からグレネードランチャーぶっ放すシーン、ファスコの車を爆発・横転させて防弾ベストに撃ちこむシーン、すごくかっこよかった。でも、かっこいいんだけど、リースの狂犬っぷりは自分の命をどうでもいいと思っているからと感じて切ないのですが…。

 後からリースには大切なものができて徐々に無茶が減るんですが、彼の背景はともかくS1のリースはキレッキレです。何度見てもやっぱ好き♡って思う。

 それにしても最初は携帯の強制ペアリングも対象者の自宅PCからデータを抜くのもリースが単独でやってましたね。初回だからメタ的にはリースの見せ場を作るっていうのもあるだろうけど、作中で考えるとフィンチにとってはお手並み拝見だったのかな。この回フィンチのジーニアスぶりがいまいち足りてないんですが、第一話から盛り盛りにされるよりも今回はリースの話、って割り切ってフィンチは謎の大富豪スタンスで、今後の活躍を楽しみに待つわ。

 

 この回では、対象者ダイアン・ハンセンを追いながら「いつ何が起こるんだ?」「凶悪犯罪に巻き込まれる。加害者か被害者かは分からない。起こるのも、5分後か一週間後か分からない」と言っています。後のエピソードで「マシンが番号を出してから24~48時間以内に何かが起こる」と言っているので、最初の設定とずれがあることが分かります。メタ的に言うとこの「序章」がパイロット版だったからなんでしょうが、作中時系列で考えると、リースと組むようになってからマシンの法則性が掴みやすくなったということなのかもしれない。

 ちなみにハンセンを探っている間の小ネタとして「フリンジ」とか「ロスト」のネタが色々入っているそうなのですが、海外ドラマ詳しくないのでよく分かりません…。知りたい人はWikiを見てください。。あとその辺と一部キャストも被っているそうなのですがそれも分からん。エマーソンさんがロストに出ているのを知っているくらい。

 

 本編の合間にリースの2001年のフラッシュバックが挟まります。ジェシカとメキシコのホテルにいるシーン。「週末が続けばいい」「もう火曜だ」「あなたは基地に戻ってしまってまた2週間会えない」と話します。

 

Then ask me to stay, and I will.

きみが残ってほしいと言えば、俺はそうする

I'll quit. I'll quit.

辞めるよ。辞める

Okay.

OK

I'll quit.

辞めるよ

Then quit.

じゃあ辞めて

I already did.

もう辞めた

What?

本当?

Yeah. I didn't want to take the chance that you wouldn't be here when I got back.

ああ。戻ってきた時きみがいないのは嫌だ

 

 Then ask me to stay, and I will.

 これはジェシカが空港でリースに言った言葉…。「あなたが待てと言うなら待つわ」。ジェシカはリースに「辞めて」と頼んだのに、リースはジェシカに「待ってほしい」とは言えなかった。ここですでにこんな伏線張られてたんだ…。

 リースはジェシカと一緒にいたくて軍を辞める決意を固めるのですが、TVをつけるとマンハッタンのビルに飛行機が突っ込んでいました。ここで9.11を2人で見たことが分かります。ロングバージョンでは、「戦争なんて起こらない。起こりもしないことのために訓練を重ねてきたんだ。君と一緒にいる方が大切だからもう辞めるよ」みたいな会話をしていて、その直後に…、という展開でした。とても悲しい。

 2001年のカレンダーを見ると、9月11日は火曜日です。ジェシカが「週末がずっと続けばいいのに」と言っていることからして、おそらく土曜から火曜までを一緒に過ごしたと思われます。S1E22でフィンチがリースに「私には4年間の幸せがあった。4日間の人もいる」と言っていたのは、リースのこの4日間のことなんじゃないかなと私はずっと思ってて…。

 この回で、フィンチはリースに「9.11の日、君はメキシコのホテルにいた」と話します。てことはいつからいつまでそこにいたのか多分知ってたと思うんだよね。。そしてリースの2001年の行動まで把握してんのかよ、って今さら驚くわ。この2人のお互いに対するストーカーぶりが…。作中ではリースのストーカー行為が強調されますが、実はフィンチの方がストーカーレベルは高いと思うな…。まあ言うまでもないんですが…。

 

 フィンチはこの回で「マシン」についてリースに説明します。S3E16のディリンジャーの回(RAM)を見た後でこれを見ると、「私は秘密主義だ」と言いながらも「決して嘘はつかない」と話し、情報源について真摯に説明するフィンチをまた違った目線で見ることができますね。失敗を繰り返したくない気持ち、あとやっぱり初めからリースは特別な人だったという気もする。マシンの黄枠がそれを物語っています。

「どうして知っている?」

「私が作った」

ってすごいパワーワードやん…。このフィンチの決め台詞めっちゃ好きだ。ここで、マシンが人々を監視していること、テロを検知する「有用」番号とそれ以外の「無用」番号に分類したこと、「無用」番号は午前0時に消されることをリースに話します。

 フィンチは「バックドアを作って無用リストの社会保障番号だけにアクセスできるようにした」と言いますが、実際はバックドアを作ったのはネイサンです。この時フィンチはまだリースにネイサンのことを話すつもりがないことが分かります。

「全体像が分からない」

と文句を言うリースに、

「仕事を与えたが、簡単だとは言っていない」

と話すフィンチ。S4ラストで「君はいつもチャレンジが好きだろう」と言ってたよね…。

 

 その後ハンセンが起訴しているポープが独房で刺殺されます。これかなり引っかかるよね…。なんでポープの番号は出ないんだよ。まあ、一人番号が出るとその周辺の関連する人物の番号が出ないことは今後もよくあるので、周囲の人が死んだりします。ポープ可哀そうすぎた。

 なんやかんやでハンセンはスティルスたち悪徳警官と組んで悪さをしている「加害者」であることが分かるのですが、その会話を覗き見るリースに銃をつきつけるのがファスコ!初対面、ファスコがリースを捕まえたんだー。「誰だ」と聞かれてへらへらしながら「憂慮する第三者?」とか答えて殴られるリース。リースの、緊迫した状況なのにくだらない冗談言ったりするとこ最後まで変わらなくて好きだった。この時の「憂慮する第三者」って言い方からすると、すでにフィンチと一緒にやる覚悟を決めてたんだなーと。この後ファスコを「お前は生かしておく。ここでしばらくやっていくから内通者が必要だ」と言って仲間に無理矢理引き入れるのですが、やっぱり、しばらくは続けようって気持ちがないとこういう展開にはならないよね。

 ファスコとドライブするシーン、スティルスと対決するシーン、とてもかっこいいです。

「お前の友人も家族も皆殺しにしてやる」と言うスティルスに対し、

「友人はいない。家族ももう残っていない。悪人を追って世界を回ったが、こんな近くにもいたとは」とリースは静かに話し、銃声が響きます。後でリースがスティルスを撃ったということが分かるのですが、ファスコに「お前の銃を使った」って言ってたけど明らかに違う銃だったわ…。ファスコの銃は銀色で、撃ったやつ黒だったもん。これは単なる間違いなのか、後から何かのフラグになるのかよく分かりません。(フラグにはならなかったけど、結局スティルスの遺体見つからなかったからな…)

 

 POIって台詞の応酬が面白いなといつも思うのですが、ファスコが最初リースを始末しようとするシーンで

 

It's Oyster Bay. Glad you like it. You're gonna be here a long, long time.

オイスターベイだ。あんたがそこが好きで嬉しいよ。あんたはここに長い、長い間いることになるからな。

 

って台詞に対し、最後スティルスの死体を始末させるシーンでリースがファスコに

 

Oyster Bay. Where no one's gonna find him for a long, long time.

オイスターベイだ。長い、長い間誰も彼を見つけられないだろう場所だ。

 

って返すの面白いなって。字幕だとより強調されて、「あんたが(スティルスが)永遠に眠る場所だ」と言ってます。POIって人の言い回しを繰り返す会話がたびたび出てきて、多くはリースがファスコやフィンチの言い回しを真似るのですが、ファスコとフィンチって喋り方や語彙が違い過ぎるので、それを真似て繰り返すリースの喋り方が面白いなといつも思う。

 

 最後のリースとフィンチのやり取りがしびれます。

 

Why me?

なぜ俺なんだ?

I've been watching you for a long time, John. We have more in common than you might think.

私は君を長いこと見てきたよ、ジョン。我々には君が思うよりも多くの共通点がある。

The world thinks we're both dead, for starters.

そもそも、世界は我々を二人とも死んだものだと思っている。

You programmed the machine to delete those irrelevant numbers. Now you're trying to save them.

あんたはこれらの無用な番号を削除するようにマシンをプログラムした。今あんたは彼らを救おうとしている。

What changed your mind?

なにがあんたの気を変えたんだ?

Let's just say you're not the only one that's lost someone.

誰かを失ったのは君だけではないと言っておこう。

If you wanna leave, I'll give you enough money to get as far as you need. Disappear.

もし君が去りたいのなら、必要なだけの金を与えよう。消えてくれ。

And if I stay?

そしてもし俺が留まるなら?

Sooner or later both of us'll probably wind up dead. Actually dead this time.

遅かれ早かれ、二人とも死んで終わることになるだろう。今回は本当の死だ。

I said I'd tell you the truth. Didn't say you'd like it.

私は君に真実を伝えた。君は気に入らないだろうが。

 

 字幕では「二人とも死ぬだろう」、吹替では「共に死ぬだろう」となってました。実際の発言はboth of usとは言っているけど、togetherとは言ってない。「二人とも死ぬだろう」とは言っているけど、「共に死ぬだろう」とは言っていないんじゃないか、って思います。結局フィンチは死ななかったわけだし…。まあこの辺のことはS5終盤になったらウザいほど書きまくるので今は触れずにおくわ…。

 でも、初回から「死んで終わる」という結末は示唆されています。

 

 「私たちには多くの共通点がある」と言ったあと少し笑うフィンチ。この笑顔の意味が全然分からないのですがかわいい…。とにかくかわいいよ…。政府に裏切られて殺されかけた、死んだと思われている、多くの偽名がある、大切な人を殺され復讐を試みた、孤独で家族も友達もいない、というあたりがこの場でフィンチが示唆する「共通点」かなあ。その他、父親の影響で人生の方向性が決められたのもこの2人の似ているところだろうか。そういえばこの会話で「ジョン」呼びしてますね。リース君特にリアクションないけど。

 それにしてもこの「長いこと見てきたよ」はいつからだろうと思ったのですが、ネイサンが亡くなったのは2010年の9月で、この頃すでにジェシカの番号が出ていたことが後で分かる。だから

 

2010年9月以降~→ジェシカ絡みの関係者として把握していた

2010年12月→ダニエル・ケーシー絡みで直接目撃。この時「この男はCIAだ」とディリンジャーに話しているので、すでに素性も知っている

2011年2月→ニューロシェルの病院で会う。多分この時リースかピーターの番号が出ていた

 

って感じだろうか。

 ジェシカ夫殺害(もしくはメキシコの刑務所に入れた)事件が2011年2月頃で、リースは少なくとも4カ月間はホームレスをしていたはずなので(S1E16の『Risk』でそう言ってる)、リースとフィンチの出会いが4月だとおかしいんだよな。。次回のGhostは9月だし。2人が出会ったのは最短でも6月以降のはずで、Pilotでは2人ともコート着てるのでどう見ても夏ではなく、やっぱり作中時系列では9月頃に思われます。もともと初回がパイロット版だったためか作中時系列があやふやになってますね。(9月にコートは早すぎるしさ…。)

 ちなみにS2E1のThe Contingencyで日付が出るのですが、そこではフィンチとリースの出会いは2011年9月16日、フィンチがリースにマシンの話をするのは2011年9月20日ということになってました。作中ではこの日付が正式かなと思います。

 

 ところでDVDの特典の55分バージョンを見たんですが、フィンチがリースにセーフハウスを与えるシーンとか(ネイサンの家だった)リースがフィンチの特徴を一つ一つメモに書いてたりとか、ジェシカといちゃつくシーンがちょっと長かったりとか(ジェシカの元カレも軍人だった)、細かいところが色々違ってました。情報量が多くて面白かったのですが、43分バージョンを知っていると間延び感は否めません。ドラマの仕事ってすごいなあと思いました。それにしてもこの43分でここまで情報量多くて魅力的で本当にすごいな。リースもフィンチも顔が好きなので見てて楽しすぎる。

 

POI:ダイアン・ハンセン(加害者)

本編:2011年9月16日~(映像では4月になってますが)

フラッシュバック:2001年9月11日、リース(ジェシカとメキシコのホテル)