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現代短歌最前線-谷岡亜紀 感想2

北溟社 「現代短歌最前線 上・下」 感想の注意書きです。

yuifall.hatenablog.com

谷岡亜紀②

 

九頭の龍もつれ合う半島は満月の珠空に抱きて

 

広島の原爆の日を日本人(ヤップンヤン)われは罵声とともに追われつ

 

 インドから香港にやってきました。20年くらい前だと、返還直後くらいかな。今香港は国家安全法制で大揉めですね…(2020年6月に書きました。。1年経ちましたが、あの頃の状況を重ね合わせながら読んでたのでこのまま載せときます)。

 香港には一度行ったことがあるのですが、けっこう前なので、もう今とはだいぶ雰囲気が違うのかもしれません。自分の感性も幼くて、日本人として何かを学んで来ようという意思に欠けていたし、観光客向けの観光しかしなかったので、「ヤップンヤン」と言われてしまうほど深く都市と関わらなかった、と思いながら読みました。「罵声とともに追われ」るのは(しかも異国で)、楽しい経験とは思えないですが、これらの歌を読んでいると自分は香港の何を見たんだろうなと思わざるを得ないです。日本の終戦記念日アジア諸国にとっては支配が終わった日でもありますもんね。。

 しかし、また行きたいとは思いつつ、法案がらみのデモで揉めまくりだしCOVID-19がらみで海外旅行なんてありえない的な雰囲気だし、次行けるのいつになるのかなー。。ペニンシュラでハイティーするの夢だったのに…。まあ『有閑倶楽部』(一条ゆかり)で読んでそのシーンに憧れてただけですけどね(笑)。結局くだらない感想になってしまった。。

 

紛れなくわれも亜細亜の一人にて風の怒号の城市に迷う

 

 むしろ昔よりも今の方が「紛れなくわれも亜細亜の一人にて」という感覚は理解されやすいのではないかという気がします。このアンソロジーそのものが20年前だから歌はもっと以前のもののはずだし、その頃は今よりももっと、日本は亜細亜ではない、という意識があったんじゃないかな。

 最近、それこそ20年くらい前のBL小説をたまたま読む機会があり(マジで昔っぽい内容だなーって感じの本だった)、中華料理屋で食事しているシーンで「日本とは思えないほどアジアン・テイストだった」って書いてあって、日本もアジアじゃん?とか、中華料理屋の内装をアジアン・テイストって乱暴すぎない??とか思ってなんかそんなどうでもいいシーンにすごく引っかかってしまい。。多分今ではこういう書き方する人はいないのではないだろうか。

 それでもここがアジアだって普段はとりたてて意識しないんですが、コロナ前のにぎわってた頃の大阪の街を夜歩いてて、あー、アジアだな!って思って、歩いてるだけでちょっとどきどきしました。それこそ勝手なイメージだけど、暑くて熱気とパワーに溢れててカラフルでちょっと猥雑な感じで。東京とかシンガポールはもっとスタイリッシュアジアな感じしますね (繰り返しますが、いずれも個人の勝手なイメージです)。どうしても海外旅行って都会に行きがちだから、日本でも東京とか大阪みたいな大都市にいる時の方がアジアだな!って感じやすいです。

 しかし、その点やっぱり京都は独特ですね…。

 

 

ヴィクトリア・ピークよ都市は血を秘めて脈打つごとき光をはなつ (yuifall)

オリエンタルトーキョー煙り異邦人として窓から眺むる亜細亜 (yuifall)

 

 

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