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「一首鑑賞」-432

「一首鑑賞」の注意書きです。

yuifall.hatenablog.com

432.朝くらき花屋の土間に包まれて仮死せるごとき白百合の束

 (さいとうなおこ)

 

 砂子屋書房「一首鑑賞」コーナーで前田康子が紹介していました。

sunagoya.com

「仮死」という言葉に、ロミオとジュリエットを連想しました。仮死状態で運ばれてきて、一度蘇って、そしてまた死んでしまうんですよね。切り取られて花屋にやってきて、活けられて美しく咲き、買われた先で再び死ぬのかと。鑑賞文には

 

冒頭の一首は、朝早く花屋に届けられた百合を見て詠んでいるのだろうか。「仮死せるごとき」というところに立ち止まる。言われてみれば根を切られた生花のすべては仮死状態にあるのかもしれない。本当に死んでしまうまでの最後の美しさをひとは求めて花束を買うのかもしれない。うすぐらい土間に置かれている白い百合の冷たい美しさを思う。

 

とありました。「冷たい美しさ」という言葉にぞくぞくします。百合という言葉には女性同性愛のイメージがありますが、そこに「仮死」という言葉が加わることで禁断の恋のイメージが重なってくるような気がする。でも「ロミオとジュリエット」と違って、死んでしまうのは彼女たちではなく、恋の方なのだろうと思います。川野芽生の『無垢なる花たちのためのユートピア』を連想しました。

 

 

比喩として私を通るまなざしは棚田に映る花火の温度 (yuifall)