いろいろ感想を書いてみるブログ

短歌と洋楽和訳メインのブログで、海外ドラマ感想もあります

読書日記 2025年2月19-25日

2025年2月19-25日

・澤村伊智『ばくうどの悪夢』

・小中大豆『3月22日、花束を捧げよ』上下

・SKYTRICK『6番目のセフレだけど一生分の思い出ができたからもう充分』

・小中大豆『ラプンツェル王子の通い妻』

・小中大豆『鏡よ鏡、毒リンゴを食べたのは誰?』

・小中大豆『鏡よ鏡、お城に隠れているのは誰?』

ソニー・インタラクティブエンタテインメント, Project SIREN team, 酒井義、浅田有皆『SIREN ReBIRTH』1巻

・田口翔太郎『裏バイト:逃亡禁止』1巻

・ひよどり祥子『死人の声をきくがよい』1巻

 

以下コメント・ネタバレあり

・澤村伊智『ばくうどの悪夢』

 これは吉田悠軌『ジャパン・ホラーの現在地』に登場した本です。二重三重のトリックが仕掛けてあるホラー小説ですが、『ジャパン・ホラーの現在地』を読んだ後だったので、「前半は中年男性が無双する展開になる」「民俗ホラー好きをかなり露骨におちょくっている」という事前情報があった上でいわばネタバレ状態で読み始めたため、前半部分のトリックへの驚きはそれほどでもなかったです。というか前半部分は、展開やキャラクターがテンプレである、主人公と父親が何となくウザい、『ぼぎわんが、来る』シリーズに登場する最強巫女キャラがなぜか主人公を殺そうとしてくる、野崎が捕まり真琴が自殺する、など、これ現実じゃなくね?と思わせる伏線を張りまくっているので、おそらく普通に読んでても気付くように作ってるんだと思う。これあっての後半が怖いもん。まず冒頭の産婦人科殺人事件は現実であるという点が怖いし(ここは夢であってほしかったと誰もが願うとこなので…)、片桐が持っている偏見は自分の中にもあるものなのでは、と突き付けられるのが怖いし、後半の現実の救いようのなさも怖いし…。

 なんかうまく考えがまとまらないのですが、これの怖さって「ばくうど」よりもヒトコワ系だよなと思いました。前半部分の内容、こういうホラー小説だという体でお出しされたらまあそういうもんだと思って読んじゃうとこあるじゃん。それが、やっぱ変だよなと。だって、私は関西出身でないので関西の地理的な空気感はピンと来ないけど、『翔んで埼玉Ⅱ』見た感じだとやっぱ大阪、京都、兵庫は少なくとも田舎のイメージではないよね。もちろん府県内には田舎の場所もあるだろうけど、本気で分かりやすく「クソ田舎」を舞台にした小説を書こうと思ったら兵庫県は選ばないのではと思うんですよ。更にバスが1時間に2本とか3本とか書いてありますけどこれは明らかにド田舎の本数ではないし(リアルなド田舎だとバスは事前予約の上で1日2本とかですので)、他にも「クソ田舎」とするには無理あるなぁ、って点が多い。一方で中学生の人間関係が(スマホアプリでメッセージやり取りしてる以外は)とても古臭かったり大人も皆マイルドヤンキーだったりよく分からん神様?を崇めていたり、その不自然さを全て「田舎」という言葉で納得させようとしている感じはあり、そのギャップは明らかなのですが、一種の叙述トリックというか、“民俗ホラーってこういうもの”と思ってると不自然さに気づかないんですよね。で後半になってそれがひっくり返されることで、自分の中にある偏見が明らかになる作りになっている。マイルドヤンキー風味だった登場人物たちは皆知的エリートで、子供たちは皆普通のいい子で、特に美男美女でもヤンキーでもギャルでもなく、そこでああそりゃそうだよな現実って、と読者をはっとさせておいて更にトリックが仕掛けてあるという…。このメタな提示の仕方は小説のテクニックとしてうまいだけでなく、直接的に読者の精神に刺さる作りになっています。

 冒頭の大量殺人を除けば途中のSNSでの田舎叩きと手のひら返しのリアルさが一番嫌でした。最後は主人公にとっては一応ハッピーエンドなのかなぁ…。読後感は必ずしも悪くはないけど、重く後引く感じです。実際これ読んだ日めちゃくちゃ悪夢見て(人をカッターナイフでぐさぐさ刺しながらどうせ夢だしなーとか思ってる夢)、ホラー小説すごいなって思ったし自分って意外にセンシティブだなと少し驚きました。

 

・小中大豆『3月22日、花束を捧げよ』上下

 ここ最近読んだBLの中で一番面白かったです。『タイム・リープ あしたはきのう』(高畑京一郎)をもっとロングスパンにした感じ?SFライトノベルとしてレベル高いと思う。主人公の海路が片想いの相手蓮のタイムリープに巻き込まれ、蓮の幼馴染である光一を死の運命から救おうとタイムリープを繰り返すという内容なのですが、ほぼ1年にも及ぶタイムリープが一度では終わらなかったり、光一の死のタイミングが毎回違っていたり、海路、蓮、光一の関係性が毎回微妙に違っていたり、最後のリープに至っては、本当に最後なの?と残りページ数を何度も確かめながらメタ読みしたりしてかなりドキドキした。繰り返すリープの中に色々伏線が張ってあり、また一緒にリープする相手である蓮の真意が最後までよく分からないというのもあって、続きが気になりすぎマジで途中でやめられず寝不足になりました。『ばくうどの悪夢』と同じ日に読んだのですが、悪夢見たのは寝不足のせいかもしれない。

 キャラもよくて、最初はテンプレ俺様スパダリ攻とけなげ受かと思いきや全然違うし、これもある意味既存のBLのメタ化というか、こういうテンプレ行動すると思うでしょ?そうじゃないよね、っていうところがとてもハマって読みやすかったです。最初攻があんま受に興味ない話が好きなんですよね。いきなり溺愛で始まるより、主人公が色々頑張ってくれてる間にこちらも徐々に主人公が好きになって、それと同時に攻も主人公が好きになってく展開だと読みやすいです。この人の小説前にも読んだことあってこれほど面白いと思ったものはなかったのですが、これ読んだら他も読みたくなってきた。

 

・SKYTRICK『6番目のセフレだけど一生分の思い出ができたからもう充分』

 これはタイトルがほぼ出オチで、まあ絶対そんなことないだろうなと思うし実際そんなことないです。わりとベタベタな幼馴染溺愛もので最初はつまんねーと思ったのですがタイトルで展開は分かってたじゃん、この展開が嫌ならなんで買ったんだ?と自分にツッコミながら読み進めたところ、意外に面白かったです。でも内容の割に長いです。

 

・小中大豆『ラプンツェル王子の通い妻』

『3月22日、花束を捧げよ』面白かったので作家買いしようかなーと思ったのですが執筆ラインナップ見てみると異世界ものやオメガバースもの、溺愛ものばかりでちょっと買う気が起きなかったので過去に買ってた本を再読してみた。これはいわゆる攻ざまあものですが、相手芸術家だからなぁー。こういうタイプの男に反省や後悔を期待するのはどうかなぁ。こうなってほしいという読者の願望を描いただけなのでは…。あんな感じで「もうムリ、あなたにはついていけない」って別れた結果、彼の世話ならいくらでも焼きたいの♡と世話焼き女が群がり、そのうち一人と子供ができてうやむやに結婚する展開の方が想像できるな…。全くざまあに向かないタイプの男だし、受のために絵やめてバイトして罵倒されたりボロアパートでキモい絵描きまくったりするわけないじゃん…資産家じゃん…と思ってしまい萎えた。

 これほんと自分が分からないんですけど、BLってほぼストーリーは予測可能で、特に昔のJUNEものはメリバとかもあったかもしれないけど最近のBLと呼ばれるものはほぼハピエンなので、ほとんど全てが「読者の願望を描いただけ」ともいえます。しかしざまあ系だけどうしてもそんな都合よくいくわけないじゃんと思ってしまうのはなぜなのか。ハピエンだってそんな都合よくいくわけないし、そもそもBLそのものが現実を超越したスーパーファンタジーご都合ジャンルなわけで、全てが都合よすぎる妄想ではないですか。私はざまあものの一体何に鼻白むのだろうか。今ちょっとうまく説明できないですが、まあ単に好みでないです。

 

・小中大豆『鏡よ鏡、毒リンゴを食べたのは誰?』

・小中大豆『鏡よ鏡、お城に隠れているのは誰?』

『毒リンゴ~』の方は再読です。内容ほぼ忘れてたけどまあ、どちらかというとテンプレに近いBLです。『お城~』の方は続巻らしく買ってみたのですが、そもそもタイトルの意味が分からんし攻の影薄すぎでした。受が後輩男のために一生懸命色々やってあげる流れは好きだったのですが、最後ノンケの後輩男が受に惚れる展開になって萎えた。性別受になっちゃうとストレートの同性に優しくしただけで惚れられちゃうの?普通の人間関係、友人関係は築けないのか?『毒リンゴ~』の方ではゲイの友達にちょっと口説かれるシーンがあって、でもそっちは相手もゲイだし「35歳過ぎてお互い独身だったら結婚しようね♡」くらいのノリだったので受け流せたのですが、『お城~』の方は逆に受がかわいそうになってしまいやってられなかった。普通に先輩として手を尽くしてあげたらノンケ男に惚れられ攻には理不尽に嫉妬され、人間関係が不健全すぎる。こういうのって「モテ」っていうよりも対等な人間同士だと思われていないのではと感じてげんなりするんだよな。

『3月22日、花束を捧げよ』面白かったのですがやっぱ前に買ってた本ではそれほど好きなのなかったなぁ。。『花束~』の方はノンケの友人と健全な友人関係が築けていてとても読みやすかったのですが。異世界ものとかでも面白かったら読みたいけど作品多すぎて好みに合うのがあるか全然分からんししばらくいいや…。

 

ソニー・インタラクティブエンタテインメント, Project SIREN team, 酒井義、浅田有皆『SIREN ReBIRTH』1巻

 1巻だけ読んでもいまいち意味が分からない上にあっという間に読み終わってしまい、続き読むかどうかは…ってなった。ゲーム好きな人はこの導入部でワクワクできるのかもしれませんが、ゲーム知らないとこれだけじゃあまり楽しめないです。全部読んだら面白いのだろうか。ちょっと小野不由美屍鬼』に似てるなーと思ったけど単に医者と聖職者が出てくるからそう思っただけかもしれない。

 

・田口翔太郎『裏バイト:逃亡禁止』1巻

 これはあんま好きなタイプのホラーじゃなかったなぁ。ふーん、で?ってなって終わった。私にホラー漫画リテラシーがないのが原因かもしれませんが…。

「「死ぬまで働け」よりもブラックなのは「死んでも働け」だよね」とか言ってましたけど、働くことを含めて人生の一切が断ち切られるから死が惨いんじゃないですか…。死んでも働けるならほぼ生きてるじゃん。てか死んだら無給かつ無休で働いてくれんの?人口減少問題解決するしよかったね!と思ってしまったよ。んじゃー私も死後バリバリ働き続けるわ。生の世界が死の世界と接続し始めると死の不可逆性の概念が崩壊するので逆に怖くなくなるんだよなぁ。同じ理由でゾンビものもあまり怖くない。これ先にゾンビになったもん勝ちじゃないか?と思ってしまう。おばけは死なないし病気も何にもないよ!

 

・ひよどり祥子『死人の声をきくがよい』1巻

 これは面白かったです。こういうホラーなら楽しめる。それにしても、ミステリ界の探偵たちはしょっちゅう殺人事件に巻き込まれたりしてますが、ホラー界の主人公も幼馴染は死んで幽霊になるわ従姉も死ぬわ家は乗っ取られるわ母親も殺されかけるわで大変ですね。妙に美少女がたくさん登場するなぁと思ったら青年誌掲載漫画なのかぁ。絵がかわいいのにホラーっぽくて好きです。これは続き買おうかな。