山田航 「現代歌人ファイル」 感想の注意書きです。
吉村実紀恵
平凡なOLだったアンコールに下着一枚で踊っていたのは
こういう歌見ると桐野夏生世界を連想してしまうんだよなー。『顔に降りかかる雨』とか『グロテスク』。なんか、普通の女の子だと思ってたのに乳首ピアスしてるみたいな(笑)。
でもさー、海外ドラマとか見てると、10代とかでも変なとこにピアスしてたりタトゥー入ってたりする人ばんばん出てくるし、何が普通なのか分かんなくなってくるよね。誰にでも下着一枚で踊り狂いたくなる夜がある(笑)!女の子にキスしたりね!
白ヘルもシュプレヒコールもない日々にロックで時代が変わるだろうか
路地裏にギターつまびく青年よ生きる時代を間違えたのか
ロックなのですが、セックス・ドラッグ・ロックンロールの世界観への憧れ?解説では
「生きる時代を間違えたのか」という問いかけはすなわち自分自身へと跳ね返っている。
と言ってます。1973年生まれ…。確かに、「白ヘル」「シュプレヒコール」「ロックンロール」の時代には間に合ってないですね…。
「君にあの時代がわかるはずがない」憧れは今も空に渦巻く
なんて歌もあります。
小池真理子の『無伴奏』だったかなぁ、とにかく全共闘時代を描いた作品で、「あの頃聴いていたのは実はビートルズじゃなくてローリングストーンズだった」みたいな文章があったのがおぼろげに記憶に残っていて。時代が微妙に違うのかそれとも聴いていた層が違うのかは実感として分かりませんが、村上龍の『69』では両方出てきたような気がしないでもない。
なんか、この時代と音楽って切り離せないような気がしていて、この人の歌には、その時代に青春を生きた人たちが共有しているノスタルジー的なものへの憧れがあるのかなって感じました。
ひとすじの涙が頬をつたう夜ヒトのかたちに紙切り刻む
解説には、
とりわけ目につくのが、「かたち」というフレーズである。自分のからだがふにゃふにゃした液体のようなものに感じてしまいうまく保てないという意識を強く持っている。そういう身体の不定形感覚は江戸雪をはじめ女性歌人に多くみられる。しかし吉村の場合、社会がそういう不定形な身体を許さず、定型に押し込めようと強制してくるように感じるというある種の被害者意識があるのが特徴だ。
とあります。ロックンロールに傾倒するのもそういう精神からなのかもしれません。俺は支配されない、お前の型になんかはまらない、って。
I was born in a cross-fire hurricane, I’m Jumpin' Jack Flash It's a gas, gas, gas!
鋳型ごとcrossfireで焼き尽くせ ぶっ飛んでんだ、最高だろ? (yuifall)
*Jumpin’ Jack Flash (The Rolling Stones)