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現代短歌最前線-林和清 感想

北溟社 「現代短歌最前線 上・下」 感想の注意書きです。

 

yuifall.hatenablog.com

林和清

 

(京都で講義「大伴家持Ⅰ」。)

虫喰みて恍たる人の食感のよみがへりくる夢のまほろ

 

(極月某日「源氏物語」講義最終回―宇治十帖―。心のうちのすさまじきかな。)

「とぞ」といふ至妙の崖へ辿りつく講義はふたたび「いづれ」の岸へ

 

 解説に、

 

京都生まれで、大学では中世和歌を専攻し、古典の講師をつとめる。

 

とあります。そして本人の随筆にも京都への熱い思いが綴られています。こういう、講義をしながら感じたことなのかな、という感じの、サブタイトル?解説?がついた歌も多数あります。時間、そして歴史に対する感覚、「滅びてゆく」ベクトルの美学と同時にある「時間の重層構造」、これらは京都に生まれ育ったことで特異的に感じられる感覚なのかもしれません。

 

都ホテルに身は入りつつそのかみや乱ありき変ありきこのしじま

 

という歌もあります。今の自分がいる場所と、京都が「京都」になった時からあるこの場所が重なる感じ。それはある意味普遍的な感覚でもあるんですが(怪談って要はそういうことですよね)、でも「京都」の特異性は、やはり、どこで何があったか実際にだいたいのことが分かっている(仮に事実ではなかったとしてもそういう共通認識が広く存在する)というところにあるような気がします。

 

 この人は小高賢の『現代の歌人140』の解説で、

 

彼の作品には京都を中心にした膨大な「教養・知識」が埋め込まれている。本歌取り、返歌、典拠のある作品など、いわば新古今時代の歌作りのようなところがある。塚本邦雄をさらに絢爛にした作品と言い換えることも許されよう。だから、鑑賞する場合、読み手が試されるところがないとはいえないのだ。

 

とあります。

 正直に言うと、『現代短歌最前線』で一番感想を書きにくかったのがこの人でした。歌が好きでないということではなく、私に古典の教養がないからです。そして、他の人はどう解説しているんだろう、と気になって『現代の歌人140』を手に取った時に書かれていた解説がこれで、読んだ瞬間本当にやられたなって思いました。「読み手が試される」ですよね、まさに。私には全然読みこなせない歌人です。でも、短歌の講師として関西圏では絶大な人気だそうで、講義受けてみたい!って思いました。教えていただけるのであれば!

 

 京都には何度か行ったのですが、一度一人で行ったことがあってそれがすごく印象に残っています。最初は伏見稲荷大社とか清水寺とか観光スポットをひたすら歩きまわってたのですが、最終的には某大学近辺をうろうろしてました。いわゆる聖地巡礼です(笑)。ここに暮らしてるのかぁーとか勝手に想像して浸ってた(笑)。

 そういえば京都出身の友達であんこ嫌いな子がいて、いつも「ええー?京都出身なのにー」とか理不尽に責められてたな…。

 

 

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