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短歌タイムカプセル-藤本玲未 感想

書肆侃侃房 出版 東直子佐藤弓生・千葉聡編著 「短歌タイムカプセル」 感想の注意書きです。

yuifall.hatenablog.com

藤本玲未

 

糸電話片手に渋谷ぶらついてこちら思春期早く死にたい

 

 おー、これは思春期っぽい。しかも思春期を渋谷で過ごした退廃感ですね。なんつーか、桜井亜美的な世界観です。いや、ケータイ小説時代の空気感かな。どっちにしろ90年代後半~2000年代前半の香りですね(この人は89年生まれなので思春期は2000年代ですね)。

 このアンソロジーには90年代生まれ以降の歌人はいませんが、これより若くなるとどんな感じの傾向になるんだろうと興味が湧いてきます。

 

満月に皇居廃墟を駆け抜けて君と銀河ではぐれてみたい

 

 これを読んだ瞬間大好きな詩を思い出しました。谷川俊太郎の『ぼく』という詩の一節、

 

だれにも とめられない

ゆめのなかで ぼくがまいごになるのを

 

というくだりです。この詩大好き。銀河ではぐれたりゆめのなかでまいごになったりするのってロマンを感じますね!

 

 

脳味噌はダイヤ、ハートは氷。でも肺に粘つく愛がくるしい (yuifall)

北西に消えてく宇宙ステーション忘れていいよどんな私も (yuifall)