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短歌タイムカプセル-高野公彦 感想

書肆侃侃房 出版 東直子佐藤弓生・千葉聡編著 「短歌タイムカプセル」 感想の注意書きです。

yuifall.hatenablog.com

高野公彦

 

あれはどこへ行く舟ならむいつ見ても真つ新なるよ柩といふは

 

 この一首を読んではっとしたのは、そうだよなって思ったからです。柩ってなんかどうも重々しいというか、暗めの重厚なイメージ(西洋の?)があるのですが、実際は常に新品だし、若木の色をしていて、見るたびにいつも新鮮に違和感を覚えます。その違和感をずっと受け流してきたけど、こうして言葉にしてくれる人もいるんだよなぁ…。コックピットが棺桶(by森博嗣)なら、柩は空へ向かう舟なのかもしれません。

 

 それから

 

青春はみづきの下をかよふ風あるいは遠い線路のかがやき

 

という一首も好きでした。

 

 

死よりなほ怖るる腐敗無造作に柩積まれし廊を歩みつ (yuifall)