書肆侃侃房 出版 東直子・佐藤弓生・千葉聡編著 「短歌タイムカプセル」 感想の注意書きです。
笹原玉子
星形の入江をかこむ港町死ぬ方法はいくらでもある
出身地を見ると、山形県のようです。どうも海の歌を見ると、この人の海はどんな海だろうと考えてしまう。山形なら、北の日本海だろうな。冬だろうか、夏だろうか。「死ぬ方法」という暗さからは冬な気がします。夏の日本海は明るそうだから。星形の入江ってどこなんだろうな。
ここはくにざかひなので午下がりには影のないひとも通ります
これも、どことどことの境目だろう、と思いました。峠にある長いトンネルを通るたびに、人間がここを通す努力をしたということを考えます。事故はなかったのかなって。何かの境というのは分け合って境なわけで、川とか、峠とか、何か難所があって交通が分断されているからこそ分かれているはずで、だからそこに影のないひとが通るのは分かる気がします。
このゆびは人さしゆびと名づけられ星座を指した、戦旗を指した
これは星座も戦旗も人ってことなのかなぁ。人が作ったもの、ですよね。
なんとなくですけど、やわらかい言葉でさりげなくどきっとするようなことを言う人なのかなと思いました。
「お迎えが来るから海さは行ぐなよ」と言ひゐし祖父の盆の葬列 (yuifall)
木漏れ日のいろを忘れてしまつても崗鈴のこゑは残つてゐます (yuifall)