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短歌タイムカプセル-大滝和子 感想

書肆侃侃房 出版 東直子佐藤弓生・千葉聡編著 「短歌タイムカプセル」 感想の注意書きです。

yuifall.hatenablog.com

大滝和子

 

めざめれば又もや大滝和子にてハーブの鉢に水ふかくやる

 

 この気持ちめちゃくちゃわかる!って思ったけど、私の気持ちとこの人の気持ちが一緒かどうか分かりませんね(笑)。私は、鏡見て、またお前かよっ!って思いますが、皆そう思う時ってないかしら。特に5月ころ。5月病なんでしょうか。春になると何かが変われる気がするのに何も変わんねーのかよ、みたいな身勝手な期待なのでしょうか。青虫でさえ蝶やら蛾になるのにね。

 

存在の釣糸ひかり魚たちは捕らえられゆくとき立ち上がる

 

 これは、情景が目に浮かびますね…。確かに釣りあげられるとき、魚って真っすぐになるなあ。目に浮かぶって書きましたが、この歌が呼び起こす光景って多分人によって全然違ってるだろうし、そういうのが短歌って面白いなぁと思います。他にも「魚選るわれは」「川の水面」なんて歌もあり、なんとなく水に親和性を感じます。釣り好きなのかなー。

 ここは海かな、川かな、湖かな、釣り堀かな。ボートや船の上だろうか、コンクリートの漁港だろうか、氷の上だろうか、草の上だろうか。釣糸がひかるんだから陽は射しているはず。早朝かな、午後かな。表現がきれいで胸に残ります。「存在の釣糸」とか「捕らえられゆくとき立ち上がる」とか。

 

 

虫けらでなく鏡にはグレージュのメッシュを入れた女が映る (yuifall)

Hallod, Hallod, 音なきこゑを聴いてゐる夏は水彩絵の具の匂ひ (yuifall)